- 【テニスのサーブの打ち方】一連の動作を9分割して解説
- サーブの打ち方どおりでは難しい場合の対処法
初心者の方がサーブをどのように打てばいいか教えてきました。
サーブが苦手な経験者の方にも、一連の動作を再確認できる内容です。
【テニスのサーブの打ち方】一連の動作を9分割して解説
本記事では、サーブの打ち方を解説しますが、下記の2つを理解している前提で進めています。
- サーブのグリップ
- トスとスイング
グリップの握り方次第で、打点の位置・スイング軌道・身体の回転具合が変わってきます。
初心者の方におすすめしているのは、下記のコンチネンタルグリップです。
⬆︎右手のひらの斜めのラインを②のグリップ面に合わせる
コンチネンタルグリップは、テニススクールの初心者クラスでも教えられているサーブの握り方です。
トスとスイングも、初歩的な練習をしておくといいでしょう。
サーブの一連の動作は、分割すると下記のようになります。
- スタンスを決めてボールをつく
- 構える
- トスアップしながらテイクバック
- トロフィーポーズ
- フォワードスイング
- インパクト
- フォロースルー
- フィニッシュ
- 次のポジションへ移動
- スタンスを決めてボールをつく
- 構える
- トスアップしながらテイクバック
- スイング
- 次のポジションへ移動
本記事では、それぞれのパートで何が起きているかを解説するため9つに分けています。
スタンスを決めてボールをつく
まずは、サーブを打つ場所を決めて両足のスタンスを決めます。
サーブを打つ場所
サーブを打つ場所には、下記の傾向があります。
- センターマークに近づくとセンターに打ちやすくなる
- サイドラインに近づくとワイドに角度をつけやすくなる
サーブを打つ場所で気をつけなくてはならないのがフットフォルト。
下記の記事でサーブのルールをおさらいできます。
スタンスを決める
サーブを打つ場所を決めたら、スタンスを決めましょう。
ベースラインに合わせるのではなく、レシーバーがいる方向に対してスタンスを決めるようにします。
厳密には、右利きの場合デュースサイドから打つときはセンターに対してスタンスを決めます。
アドバンテージサイドから打つときはワイド方向に対してスタンスを決めます。
どのスタンスにするかは、グリップによります。
- 【イースタン〜コンチネンタル】
- →スクエアスタンス
- 【コンチネンタル〜バックハンドイースタン】
- →クローズドスタンス
両足の距離は、下記の2点によって違ってします。
- どれだけ体重移動を大きく使うか
- 後ろ足を前足に寄せるかどうか
ボールをつく
スタンスを決めたら、ボールをつきます。
ボールをつかないでサーブを打っても問題ありませんが、どんなサーブを打つか考える時間を作れます。
サーブを打つときのルーティンとして取り入れてみてください。
ボールを何回つくか決めておくといいリズムでサーブに入りやすいです。
ただし、前のポイントが終わってから25秒以内に次のポイントを始めなければいけないルールがありますので、ボールのつきすぎには気をつけましょう。
構える
ボールをついたら、相手を見て構えます。
相手の準備ができているか確認し、相手の様子を見て最終的にどんなサーブを打つかを決めます。
構える時間は長くならないほうがいいです。
静止している時間が長くなると、トスやテイクバックに力が入りやすいです。
ボールをついたら、構える時間は一瞬ですぐにサーブのモーションに入る選手もいるくらいです。
構えるときのラケットの高さはさまざまで、高く前に構える人もいれば、低く構える人もいます。
ラケットの構える高さは、両腕を下ろす動作が自分に必要かどうかで判断してみてください。(トスやテイクバックがしやすいかですね。)
構えるとき、体重を乗せる足は下記のように3種類あります。
- 前足に乗せる
- 後ろ足に乗せる
- どちらにも乗せない
どれを選択しても、最終的に前足に体重を乗せてトロフィーポーズを迎えます。(トロフィーポーズについては後ほど説明します。)
前足に乗せる
1番オーソドックスなのは、前足に体重を乗せて構えるパターンです。
体重移動は、
となります。
前足から後ろ足に体重移動しながらトスとテイクバックを開始するので、スタートをスムーズにしやすいです。
後ろ足に乗せる
シンプルかつクイックにサーブを打ちたい方におすすめなのが、後ろ足に体重を乗せて構えるパターンです。
体重移動は、
となり、動きをシンプルにできます。
前足のつま先を上げて構えると体重移動を大きくできますが、その分その後の動作でバランスを崩しやすくなります。
前足のつま先を地面につけて構えると体重移動は小さくなりますが、その分その後の動作でバランスを保ちやすくなります。
欠点としては、トスとテイクバックの開始に体重移動が使いづらいことです。
手動でできれば問題ありませんが、うまくいかない場合は「前足に体重を乗せて構えるパターン」を試すといいかもしれません。
どちらにも乗せない
どちらにも乗せないで構えるパターンもあります。
ほとんど体重移動を使わず打つことになります。
スタンスを狭めにとることが、このパターンのポイントです。
- 前後の体重移動を使いにくい
- トスとテイクバックの開始が手動
などのデメリットがありますが、
- 身体のバランスが保ちやすい
- 省エネで打てる
といったメリットもあります。
下記のどれかに当てはまる方は試してみる価値ありです。
- 体重移動しながら打つのがしっくりこない
- 体重移動しなくても身体をしなやかに使って打てる
- サーブで余計なエネルギーを使いたくない
- サーブで身体のバランスが崩れやすい
トスアップしながらテイクバック
相手を見て構えたら、いよいよサーブのモーションに入っていきます。
- トスアップ
- テイクバック
- 体重移動
を同時進行で行うため、かなりハードです。
トスアップとテイクバックは身体の正面側、つまり打つ方向に対して右側で行うことになります。(右利きの場合。)
トスアップ
トスアップの腕を上げる方向は、
- グリップの握り
- 打点の位置
によって変わってきます。
グリップの握りで打点が変わります。
グリップが厚ければ厚いほど打点が打ちたい方向に対して身体の前方になります。
打ちたい方向に対して右斜め前から上げるとスムーズです。
グリップが薄ければ薄いほど打点が打ちたい方向に対して身体の後方になります。
打ちたい方向に対して右側から上げるとスムーズです。
ただ、コンチネンタルグリップのように薄いグリップでも身体を前方へ移動して打点を前にしたい方もいます。
その場合は、打ちたい方向に対して右斜め前から上げたほうが打点を前にしやすいです。
とはかぎりませんので、打点の位置も考慮して腕を上げる方向を決めましょう。
テイクバック
⬆︎テイクバックで腕を上げていい範囲
ラケットのテイクバックは身体の正面から上げるのが主流です。
ただ、テイクバック完了の形が同じであれば、腕を上げる方向は身体の正面からでも横側(打ちたい方向の反対側)からでもその中間でもいいと思います。
ただ、テイクバック中に下記を守るようにしましょう。
- ラケットヘッドは身体の正面側に置いておく。
- ラケットヘッドが暴れないように手首を固めておく。
トスアップとテイクバックは、基本的には同時進行で進めましょう。
トスアップしてからテイクバックする場合、トスを高く上げないとタイミングが合わないからです。
体重移動
「構える」で説明したとおり、体重移動はどちらの足に体重を乗せておくかで動きが変わります。
ただ、どの構えからスタートするにしろ、最終的に体重が前足よりになります。
体重移動では、
と
があります。
どちらのスタンスにも、メリットデメリットがあります。
両方試してみて、合うほうを選びましょう。
トロフィーポーズ
身体を沈めて、左腕をまっすぐ上に伸ばし、テイクバックが完了すると
を迎えます。
トロフィーポーズは、サーブ全体の折り返し地点ともいえます。
また、下半身にためた力でスイングを加速させる重要なアクションです。
ただ、トロフィーポーズは一瞬止まるだけで、長くその形を維持するものではありません。
長く止まってしまう方は、トスが高すぎないか疑いましょう。
その他、トロフィーポーズで気をつけたいのは下記のとおりです。
- 股関節を折り曲げているか
- 左腕を伸ばし左肩を入れているか
- 両肩の延長線上に右肘があるか
- 右肘を90度くらいに曲げているか
- 右手首を固定できているか
股関節を折り曲げると、結果として両ひざが適度に曲がり、上体がのけぞるのを防ぐことができます。
両腕の動きは自分でわかりにくいので、スマホで動画撮影(後ろからと右側から)して確認するのがいいですね。
フォワードスイング
トロフィーポーズを経由して、「フォワードスイング」に入ります。
「フォワードスイング」は、両膝を伸ばした勢いをきっかけにスタートします。
どの球種で打つにしろ、ラケットを振り出した結果、右手が上がっていきます。
グリップが上がっていくと同時にラケットヘッドが落ちていきます。
ただ、ラケットヘッドを落とそうと意識する必要はありません。
インパクト
スイングの途中で「インパクト」を迎えます。
インパクトの位置は、グリップの握り方で変わります。
イースタングリップのように厚ければ、インパクトはフォアハンドストロークのように右前方になります。
コンチネンタルグリップのように薄いグリップなら、インパクトは頭から右肩の上辺りです。
インパクトで注意したいのが
です。
右腕が伸びていくとき、ラケットも一緒に伸びて一直線にならないように気をつけましょう。
右腕が伸びていくと、左腕は逆に折れ曲がり身体の近くに戻ってきます。
フォロースルー
インパクト後のスイングを「フォロースルー」といいます。
スイングにつられて顔も回りやすいので、できるだけインパクト付近に残すように意識しましょう。
イースタングリップの場合、ボールを追いかけるようにラケットヘッドが前方を通ります。
コンチネンタルグリップのように薄いグリップの場合、ラケットヘッドは打ちたい方向の右側へ抜けていきます。
フィニッシュ
フォロースルーが終わりラケットのスイングが止まると「フィニッシュ」です。
フィニッシュまで来ると、コンチネンタルグリップのように薄いグリップでも身体は正面を向きます。
ジャンプしないで打つ場合
ジャンプしないで打つ場合は、左足の母趾球(足の裏の親指の付け根部分)を中心に回してつま先が正面へ向くようにします。
そうすると、身体が正面へ向けられます。
その後、右足を1歩前へ出して終わります。
ジャンプして打つ場合
ジャンプして打つ場合、左足を正面に向けて着地し右足を後方へ上げてバランスをとります。
身体のバランスを保てない場合は、適切でないインパクトで打っています。
トスを選んで打つようにしましょう。
次のポジションへ移動
⬆︎ポジションを前へ移動した場合
サーブを打った後はボールの行方を追いたい気分ではありますが、実戦では次に備える必要があります。
「次のポジションへ移動」しつつ構え直します。
返ってくるボールに備えて、適切なポジションに移動しなくてはいけません。
左右のポジショニングだけではなく、サーブで相手のバランスを崩せたのであれば
移動します。
逆に、サーブが甘く入ってしまったら
相手の攻撃に備えます。
サーブの打ち方どおりでは難しい場合の対処法
かなりの練習を積まなければ、サーブの打ち方どおりにはなかなか打てません。
本記事の後半では、サーブの打ち方どおりでは難しい場合の対処法を解説します。
サーブの打ち方ではトスアップしながらテイクバックが難しい
サーブの打ち方で難しいのは、
するところでしょう。
なぜならば、トロフィーポーズをとるまでに3つの動きをやらなければいけないからです。
- トスアップ
- テイクバック
- 体重移動
1つの動作に絞っても難しいのに、3つ同時進行です。
これはかなりハードです。
テイクバックを済ませてからトスアップと体重移動を行う
サーブの打ち方どおりでは難しい場合の対処法は、「テイクバックを済ませてからトスアップと体重移動を行う」です。
テイクバックを先に済ませておくメリットは以下のとおりです。
- 同時進行で行う動作が2つで済む
- ボールにタイミングが合わせやすい
- テイクバック完了の形を整えておける
- 肩の負担が少ない
同時進行で行う動作が2つで済む
本来なら同時進行で行うべき3つの動作。
ラケットをテイクバックしておけば、トロフィーポーズまでにやるべきことが
- トスアップ
- 体重移動
の2つに絞れます。
美しく見えないかもしれませんが、サーブは見た目ではなくサービスコートに入れることが目的です。
サーブが苦手な人にとって、有力な選択肢の1つになるでしょう。
ボールにタイミングが合わせやすい
テイクバック完了の形からスタートするので、インパクトまでの距離が短くて済みます。
なので、
というメリットが生まれます。
体重移動しながらのトスアップがうまくいけば、サーブが成功する確率を大幅に上げられます。
テイクバック完了の形を整えておける
トスアップしながらテイクバックをすると、テイクバック完了の形がどうなっているかわかりづらいです。
当然ボールを見ているので、テイクバック完了の形がどうなっているのかはわかりません。
先にテイクバックだけ行うと、
- 右肘の高さ
- 右肘の曲がり具合
- 右手首の形
などを整えてから、トスと体重移動を行えます。
肩の負担が少ない
トスとテイクバックを同時に行うと、ボールに合わせてテイクバックすることになり、ラケットや腕を上げるとき肩に負担をかけてしまうこともあります。
先にテイクバックを済ませる場合、自分のペースでゆっくりラケットを上げることができます。
肩に負担のかからないポジションをとりやすいので、肩の痛みがあるときの対処法としても優れています。
プロテニス選手でも、肩を痛めているときはあらかじめラケットをテイクバックしておくことがあるくらいです。
デメリットを上回るメリット
テイクバックしながらスイングすると、長い助走からサーブが打てる気がします。
ですが、一瞬だけトロフィーポーズでラケットの動きは止まります。
まったく止まらずに振るわけではないので、スイングスピードに大きく貢献できるわけではありません。
ラケットをテイクバックしたままだと、完全に止まったところから振り出すので確かに力が入りそうです。
ですが、同時に行った結果テイクバック完了の形が崩れてしまうようなら、あらかじめ正しい形を作っておいたほうがマシです。
テイクバック完了の形が崩れた状態からサーブすると、肩の回旋をうまく使えないばかりか肩の故障にも繋がりかねません。
ラケットが動いてリラックスできることよりも、正しいテイクバック完了の形から振り出すことのほうが優先順位は高いです。
テイクバックを済ませておくサーブは、一般的なサーブの打ち方の前段階として練習するのにもおすすめです。
サーブに不安がある方は、ぜひ取り入れてみてください。
サーブがうまく打てないのであれば、9分割した動作のどこかに問題点が潜んでいます。
それぞれの動作をチェックしながら改善点がどこにあるのか探してみましょう。