- テニスの基本(用語・ショット・ルール)を元コーチが解説【初心者向け】
- テニスの基本技術を効率よく覚える3つの考え方【停滞しないために】
テニスの基本(用語・ショット・ルール)を元コーチが解説【初心者向け】
テニスをするうえで知っておきたい基本知識はたくさんありますが、大きく分けると以下の3つです。
- テニスの基本用語
- テニスの基本ショット
- テニスの基本ルール
1つずつ解説していきます。
テニスの基本用語
初心者の方がすぐに知っておきたいテニスの基本用語をピックアップしました。
まずは用具の名前から。
- テニスラケット
- 大人の硬式テニスラケットの長さは27インチ。ジュニアラケットの長さは19〜26インチ。安価なものはアルミ製、高価なものはカーボンやグラファイトの素材で作られている。
- ストリング
- ストリング(ガット)はラケットに張ってある糸のこと。素材で大きく分けるとナチュラル・ナイロン・ポリエステルの3種類がある。
- テニスボール
- ボールの内圧とゴムの力で弾む「プレッシャーボール」とゴムの力のみで弾む「ノンプレッシャーボール」がある。
- テニスシューズ
- 前後だけではなく、テニスでよく使う左右の動きにも対応したシューズ。オールコート用とオムニ・クレー用とカーペットコート用の3種類がある。
テニスコートにはいろいろなサーフェスがあります。
- ハードコート
- アスファルトやコンクリートを土台に表面に合成樹脂などでコーティングしたサーフェス。
- 砂入り人工芝コート
- 人工芝の上に細かい砂を敷き接地面の摩擦を適度に減らしたサーフェス。よく「オムニコート」と呼ぶ。
- クレーコート
- 土で重ねた層の上に砂がまかれたサーフェス。
- カーペットコート
- 毛足の短いカーペットのような素材を表面に敷いたサーフェス。インドアのテニススクールに多い。
- グラスコート
- 天然の芝生を使ったサーフェス。ウィンブルドンが有名。
テニスコートのラインやエリアの名称は、下記のとおり。
下記の6つを優先的に覚えましょう。
- サービスライン
- ベースライン
- アレー
- サービスコート
- デュースサイド
- アドバンテージサイド
テニスの用語をさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
テニスの基本ショット
次は、テニスの基本ショットについてです。
テニスには、「基本ストローク」と呼ばれているショットが6つあります。
- フォアハンドストローク
- 利き手側に来たボールをワンバウンドさせてから返球するショット。
- バックハンドストローク
- 利き手の反対側に来たボールをワンバウンドさせてから返球するショット。
- フォアハンドボレー
- 利き手側に来たボールをノーバウンドで返球するショット。
- バックハンドボレー
- 利き手の反対側に来たボールをノーバウンドで返球するショット。
- スマッシュ
- 頭上に上がったボールをノーバウンドで相手コートに叩きつけるショット。
- サーブ
- 自分で上げたボールを相手のサービスコートに入れるショット。
フォアハンドストロークとバックハンドストロークは、まとめて
と呼ばれています。
バックハンドストロークには
と利き手で打つ
があります。
グランドストロークの基本動作には以下のようなものがあり、他のショットでも登場するので理解しておきましょう。
- レディポジション
- 最初の構え(テニスの基本姿勢)。
- スプリットステップ
- 相手がボールを打つときに両足を離して地面に着地する動作。次の一歩が素早く出るようになる。
- ターン
- 身体(骨盤より上)を回す動作。
- テイクバック
- ラケットを後ろへ引く動作。
- フォワードスイング
- ラケットを前方へ振る動作。
- ラケットダウン
- ラケットを下に落とす動作。
- インパクト
- ボールがラケットに当たった瞬間。
- フォロースルー
- インパクト後のスイング。
- フィニッシュ
- 打ち終わったときのポーズ
ボレーは、グランドストロークよりネットに近い位置から打つことが多く、ラケットで壁を作るイメージです。
ボレーでおさえておきたい基本動作は、
で、その名のとおりラケットを準備するだけの動作です。
グランドストロークのように、ラケットを後方へテイクバックしないことがポイントです。
スマッシュも、ボレーと同様にネット近くで打つ場合が多いです。
スマッシュでおさえておきたいのは、インパクト前後に起こる
で、下図のようにうちわをあおぐような回旋の動きです。(サーブでも使用します。)
↓
サーブは、サービスともいいます。
サーブ特有のおさえておきたい基本動作は、下記の2つです。
- トスアップ
- ラケットを持ってないほうの手でボールを上げる動作。
- トロフィーポーズ
- トスアップした手が上がり、テイクバックが終了して身体が沈み込んだときの一瞬止まって見えるポーズ。
テニスの基本ルール
テニスのゲームをするには、ルールを覚える必要があります。
テニスの基本的なルールを以下にまとめました。
1対1で戦うシングルスと2対2で戦うダブルスがある
テニスには、1対1で戦うシングルスと2対2で戦うダブルスがあります。
シングルスとダブルスの違いで知っておきたいのは、コートの違いです。
シングルスは、コートの両端にあるアレーを含みません。
つまり、アレーにボールがバウンドしたらアウトです。
それに対して、ダブルスはアレーを含みます。
アレーにボールがバウンドしたらインで、続けないといけません。
ダブルスは2人で戦うため、サーブ権の順番やリターンのポジショニングがシングルスより複雑になります。
1ポイントの流れ
次に、1ポイントの流れを見ておきましょう。
テニスは、必ずサーブから始まるスポーツです。
サーブは、対角線上にあるサービスコートにワンバウンドさせなければいけません。
下図は、デュースサイド(自分のコートの右半分)から打ったときに狙うサービスコートです。
1ポイントにつき2回までサーブを打てますが、2回とも失敗(フォルト)してしまうと失点になります。(1回目に打つサーブを「ファーストサーブ」、2回目に打つサーブを「セカンドサーブ」と呼びます。)
ネットに当たってサービスコートに入った場合は、そのサーブをやり直しできます。
サーブを打った後、相手は
相手コートに返球します。
サーブを返球するショットのことを「リターン(もしくはレシーブ)」といいます。
サーブがコートにバウンドする前に打ってしまうと失点になります。
リターン後は、ワンバウンドかノーバウンドで相手コートに返球すればOKです。
ネットに当たってから相手コートに入った場合は、サーブと違いそのまま続行しなければなりません。
ポイントの失点
テニスで失点になるのは、主に下記の場合です。
- サーブが2回とも入らない
- 自分のコートでツーバウンドした
- 相手コートにボールを返球できなかった
相手コートにボールを返球できない場合というのは、相手の打ったボールを空振りしたり、打てたけどネットにかかった、もしくはコートの外にバウンド(アウト)した場合などです。
ゲームとセット
テニスは、ポイントを重ねて「ゲーム」をとり、ゲームを重ねて「セット」をとります。
先に必要なセット数をとったほうが勝者です。
- ゲーム
- サーバーとレシーバーは変わらずに4ポイント先取したほうが「ゲーム」の勝者となる。ただし2ポイント差をつける必要あり。
- セット
- 1ゲームごとにサーブ権を交代しながら6ゲーム先取したほうが「セット」の勝者となる。ただし2ゲーム差をつける必要あり。
- 3セットマッチ
- 2セットを先取したプレーヤーが試合に勝利。
- 5セットマッチ
- 3セットを先取したプレーヤーが試合に勝利。
ポイントの数え方
ゲームをとるまでのポイントの数え方は、
を使います。
例えば、サーバーが1ポイント、レシーバーが2ポイントのときは「フィフティーン・サーティー」とコールします。
サーバーとレシーバーのポイント(得点)が同じときは、「フィフティーン・フィフティーン」ではなく「フィフティーン・オール」のように「オール」をつけてコールします。
ポイントが「40 – 40」になると、2ポイント差をつけるまでゲームがとれません。
その際に知っておきたい用語は下記の3つです。
- デュース
- 「40 – 40」になると「フォーティー・オール」とは言わず「デュース」とコールする。「40 – 40」以降も同点になると「デュース」とコールする。
- アドバンテージ・サーバー
- デュースの後にサーバーがポイントしたときのコール。
- アドバンテージ・レシーバー
- デュースの後にレシーバーがポイントしたときのコール。
タイブレーク
ゲームカウントが「6 – 6」になったとき、短期決戦でセットの勝者を決めるタイブレークが採用されることが多いです。(本来は、2ゲーム差をつける必要あり。)
- タイブレーク
- ゲームカウントが「6 – 6」になったときに7ポイント先取の勝負で決着をつける。「6 – 6」になると2ポイント差をつける必要あり。
テニスの基本技術を効率よく覚える3つの考え方【停滞しないために】
下記の3つを知っておくと、停滞せずに基本技術を身につけられます。
- 簡単な基本練習から徐々にステップアップ
- できなくても次のステップを経験しておく
- 基本フォームどおりに打てない理由はボール
簡単な基本練習から徐々にステップアップ
テニスの基本技術を効率よく覚えるには、
しましょう。
テニス経験が浅い方がラリーやゲームなどの実戦ばかり繰り返していると、変なクセが付きやすいです。
そうなってしまうと、そこからなかなか抜け出せなくなります。
例えば、初心者の方がグランドストロークでいきなり大きなテイクバックからスタートしてしまうと、いつまで経っても再現性の高いスイングは身に付きません。
最初は、簡単な球出しでコンパクトなテイクバックからスイングを覚えるといいですね。
そうすると、適切なインパクトの位置でとらえやすく、スイングも再現性が高くなります。
その後、テイクバックを徐々に大きくしていけばいいでしょう。
練習方法も、下記のように段階を踏んで難しくしていくと、基本の打ち方を崩さずに上達できます。
- 打点の上から落としたボールをその場で打つ
- そばから手で送られたボールを動きながら打つ
- 遠くからラケットで送られたボールを動きながら打つ
- コーチ(うまい人)とラリーする
- 同じレベルくらいの人とラリーする
上記の練習は、下へ行けば行くほどボールに移動したり、タイミングを合わせてスイングするのが難しくなります。
ボレーなら、最初はラケットを振らないで打つのがおすすめです。
ラケットセットの形を覚えられ、フットワークを習得しやすくなるからです。
ボレーにスイングをつけるのは、その後に練習すれば大丈夫です。
スマッシュは、下記のようにステップアップしていきます。
- 小さく上げたボールをプロネーションで打つ
- 小さく上げたボールをテイクバックしたところから打つ
- 高く上げたボールをテイクバックしたところから打つ
- レディポジションから前後のフットワークを入れて打つ
サーブは、下記のようにステップアップしていきます。
- 打点に向けてトスを練習する
- トスしたボールをプロネーションで打つ
- テイクバックしてからトスを上げて打つ
- トスとテイクバックを同時に行い打つ
できなくても次のステップを経験しておく
前のステップができなくても、次のステップを経験しておくことも必要です。
できるようになるのを待っていたら、一生基本の習得は終わらないからです。
できなくても次のステップをこなすことで、さらなる課題や問題点が見えてくることもあります。
わたしも、過去フォアハンドストロークが球出しもろくに打てませんでしたが、より難しいラリー練習のときにコツをつかんだことがあります。(ラリーは相手の球威を利用できるので、球出しよりやさしい側面もあります。)
球出しを打てるのにラリーになると打てない場合は、その違いを探ることでできない理由を見つけられるかもしれません。
また、
という方もいますが、それだといつまで経っても試合に出れません。(過去のわたしがそうでした…)
試合に出ることで、基本練習では身につかない基本戦術が身につくというメリットもあるので、自分はまだ未熟だと思っても経験しておくことをおすすめします。
基本フォームどおりに打てない理由はボール
素振りと実際にボールを打つときは、何が違うのでしょうか?
基本のフォームどおりに打てない理由は、
からです。
実戦では、素振りのように自分のタイミングでラケットを振れません。
ボールが来るタイミングに合わせて、ラケットを振らなければいけません。
時間的余裕が違います。
素振りどおりのフォームで打てる段階まで、基本練習のレベルを落とす必要があります。
ネットに近い距離に立ち、近くからゆっくりとボールを送ってもらうと、素振りに近い感覚で打ちやすくなります。(グランドストロークなら、サービスラインもしくはもっと前に立って打つ感じですね。)
また、ボールのバウンドに合わせてテイクバックしてしまうと、速いボールは基本のフォームどおりに打てないでしょう。
テイクバックがいつ終わっていれば、素振りと同じ感覚で打てるのか考えてみましょう。
少なくとも、ボールがバウンドする前にはテイクバックを完了させておきたいですね。
そして、いつラケットを振り出せば素振りと同じように打てるのか逆算してみましょう。
テニスは、深くて難しいスポーツです。
基本の習得に時間はかかりますが、本記事が少しでも役立てば幸いです。