- テニスのガット張りのやり方|元ストリンガーが教える1番簡単な方法
- 自分でテニスのガット張り|事前に知っておきたい疑問3つに答えます
テニスのガット張りのやり方|元ストリンガーが教える1番簡単な方法
本記事で紹介するガット張りのやり方は、
方向けです。
要は、挫折しづらいガットの張り方です。
もしくは
という方には向きません。
簡単な方法といっても、すぐに身につけられるわけではありません。
ガット張りには、練習が必要です。
最初のうちは、何度も失敗します。
テニスをすると頻繁にガット(ストリング)が切れる方だったら、練習できる機会はいっぱいあるでしょう。
もし、そうでなければ、覚えるまで時間がかかります。
本記事では、ガットの張り方を下記の順で解説していきます。
- ガット張りに必要な用具
- 縦糸(メインストリング)を張る
- 横糸(クロスストリング)を張る
ガット張りに必要な用具
上は、わたしがガット張りで使っている最低限の用具です。(あと、当て革代わりのグリップテープですね。)
スターティングクランプ(必須)
張り始めにストリングを仮止めするときに使います。
また、ノット(結び目)でストリングを引っ張るときにも使ったりします。(ペンチより引っ張りやすい!)
スターティングクランプは高価なものが多いです。
わたしは上の安価なスターティングクランプを使っていますが、今のところ問題なく使えています。
当て革(必須)
スターティングクランプでストリングを止めるとき、ラケットのフレームが傷つかないように挟みます。
という方は、上の写真のようにグリップテープの切れ端やダンボールなどで代用しましょう。
オウル(必須)
先端が細いオールですね。
先が曲がっていないオールでもOK。
ストリングがうまく通らないときやホールに止めたいときに重宝します。
細くて使いづらいですが、ストリングの目なおしにも利用できます。
カーブプライヤーもしくはペンチ(必須)
上は、テニスのガット張り専用です。
普通のペンチで大丈夫です。
わたしは、100円ショップで購入した小さめのペンチを使っています。
ノット(結び目)を作るときに使用します。
ニッパー(必須)
上は、ミクロスーパーなどのガットでおなじみゴーセンのニッパーです。
こちらも、普通のニッパーで大丈夫です。
わたしは100円ショップの小型ニッパーを使っていますが、小さすぎて使いづらいです。
100円ショップでもいいので、通常サイズのニッパーを選びましょう。
セッティングオール(あると便利)
先が丸くて、太いオールですね。
横糸を張るときや最後に目なおしをするとき、使います。
先端が細いオールや指で目なおしすることもできますが、セッティングオールのほうがスムーズに目直しができます。
ストリングカッター(あると便利)
ガットを張り替えるとき、楽に切ることができます。
わたしはニッパーで切っていますが、ストリングカッターのほうが楽に早く切ることができます。
縦糸(メインストリング)を張る
本記事では、ハイブリッドも張れる
のやり方を説明します。
まずは、縦糸から下記の手順で張っていきます。
- ラケットをセットしてテンションを設定する
- ストリングを半分に切る
- 真ん中2本を通す
- スターティングクランプで仮止めする
- 左右を交互に張っていく
- 最後の1本はテンションを上げて張る
- ノット(結び)を作る
ラケットをセットしてテンションを設定する
まずは、ラケットをガット張り機(ストリングマシーン)にセットします。
グリップエンドのマークをひっくり返してセットすると、ノットでカットした部分が裏側になり表側がきれいに見えます。(下はヘッドのマークがひっくり返っています。)
ラケットをセットするときは、上下を合わせてから、サイドサポートを合わせていきます。
キツキツに閉めるのではなく、ラケットをゆすったときに少し動くくらいがいいです。
ガットを張っている最中にラケットは変形するので、ほんの少しだけ余裕を持たせておきます。
ラケットをセットしたら、希望のテンションに設定しておきましょう。
ストリングを半分に切る
2本張りで張るので、ストリングを半分に切ります。
丸まっているストリングを反対に回して解いていくと絡まりにくいです。
丸まっていたストリングを解いたら、両端を持って同じ長さになるように揃えてから切ります。
半分に切ると、
の長さになります。
真ん中2本を通す
真ん中2本に、ストリングを通します。
上から通すか下から通すかは、ラケットによって違います。
下(スロート側)のグロメットを見ると、どちらで通すべきかわかりやすいです。
下(スロート側)のグロメットが6本なら、上(ヘッド側)から通します。
↓
左右同じ長さになるように通しましょう。
スターティングクランプで仮止めする
2本まとめて引っ張り、どちらか1本を仮止めします。
ガット張り機のクランプでスロート側を固定して、スターティングクランプでヘッド側を固定します。
スターティングクランプでストリングを挟むときは、ラケットに傷がつかないように当て革を間に挟みます。(ラケットとスターティングクランプが直接当たらないようにします。)
↓
↓
仮止めが終わったら、もう片方のストリングを引っ張り、クランプで止めます。
クランプでストリングを止めるときは、
でしたね。
次に、仮止めしていたストリングを引っ張りたいところですが、隣のクランプが邪魔でできません。
仮止めしたストリングはそのままにして、次の1本を通して、同じように引っ張り、クランプで止めます。
邪魔だったクランプが移動してくれました。
スターティングクランプで仮止めしていたストリングをもう1度引っ張り直します。(中央2本を同時に引っ張っり、希望のテンションが出ていないため。)
スターティングクランプと当て革を外してから、クランプを外します。
そして、クランプを移動して固定します。
そのまま次の1本を通して、ストリングを引っ張ります。
クランプを外して、引っ張っているストリングを固定します。
これで、中央の4本が張り終わりました。
左右を交互に張っていく
この後は、左右のバランスをとるため、両サイドを交互に1本ずつ張っていくのが理想です。
ただ、左右交互に1本ずつ張り続けるのはちょっと面倒で時間もかかります。
なので、
それから
のように、左右を1往復ずつ張ってもOKです。
最後の1本はテンションを上げて張る
縦糸の最後1本は、テンションを10%くらい上げて張ります。
例えば、45ポンドくらいで張っていたら、50ポンドくらいですね。
ノット(結び)を作る
最後に、ストリングを結んで止めます。
結び(ノット)はいろいろな種類があるのですが、ここでは初心者が覚えやすい「エイトノット」を紹介します。
まず、フレームの内側に「TIE OFF MAIN」と書いてあるホールにストリングを通します。
縦糸の右側に上から下に通します。
できた輪っかに向かって、下から上に通します。
次に、輪っかの奥から手前に通します。
後からできた輪っかのもう片方をカーブプライヤーやペンチで引っ張ります。(下の写真の指でつまんでいるストリングを引っ張ります。)
↓
そのとき、奥に引っ張ってから手前に引っ張ります。(もう1回くらいやります。)
力を入れすぎると、ガットが切れてしまうことがあります。
力加減に気をつけましょう。
下のように、輪っかが1つなくなります。
次に、残った輪っかが小さくなるようにストリングを引っ張ります。
同じように、カーブプライヤーやペンチで奥に引っ張ってから手前に引っ張ります。(もう1回くらいやります。)
↓
上の写真は、ペンチでストリングを奥に引っ張ってから手前に引っ張っているところです。
わからない方は、下記の動画を参考にしてみてください。(「Wilson Pro knot」とありますが、エイトノットのことです。)
結び終わったら、余ったストリングを切ります。
↓
クランプをストリングから外すときは、
でしたね。
同じように、左側の縦糸もエイトノットで結びましょう。
これで縦糸が完成しました。
横糸(クロスストリング)を張る
次は、横糸(クロスストリング)を張ります。
横糸を通す前に、10%アップしたテンションを元に戻しておきましょう。
横糸は、下記の手順で張っていきます。
- ヘッド側に2本通す
- スターティングクランプで仮止めする
- 1本ずつ目直ししながら張っていく
- 最後の横糸1本はテンションを上げて張る
- スロート側の横糸を結んで止める
- ヘッド側の横糸1本をテンションを上げて張る
- ヘッド側の横糸を結んで止める
- 目なおしして目飛ばしがないか確認
ヘッド側に2本通す
縦糸と同じく、2本ガットを通します。
ただし、ヘッド側に2本です。
両手の人差し指でストリングの先を持って、縦糸の上と下を交互に通していきましょう。
↓
1番ヘッド側のストリングは最後に結びます。
結べるだけの長さが必要なので、
を確保しておきましょう。
スターティングクランプで仮止めする
1番ヘッド側の横糸を仮止めします。
やり方は、縦糸のときと同じです。
2本まとめて引っ張って、1番ヘッド側の横糸をクランプとスターティングクランプで止めます。
↓
↓
1本ずつ目なおししながら張っていく
仮止めが終わったら、横糸を1本ずつ張っていきます。
両手の人差し指でストリングの先を持って、縦糸の上と下を交互に通していきましょう。
⇅
横糸を設定したテンションで引っ張ったら、セッティングオールなどで目なおしして、まっすぐにしてからクランプで止めます。
↓
次の1本は、隣の横糸と上下が逆になるように通します。
1本ずつ通してから設定したテンションで引っ張っるより、1つ先まで通してから1つ前の横糸を引っ張っるほうがスムーズです。
横糸を縦糸の上下に通すのが楽になりますので、慣れてきたらチャレンジしてみてください!
最後の横糸1本はテンションを上げて張る
最後の1本は、ストリングを結ぶとき緩むのを計算に入れて、テンションを10%くらい上げて張ります。(縦糸を張ったときの最後の1本と同じです。)
スロート側の横糸を結んで止める
余ったストリングが長すぎると結びづらいので、目の高さくらいで切りましょう。
フレームの内側に「TIE OFF CROSS」と書いてあるホールにストリングを通します。
縦糸と同じように、エイトノットでストリングを結んで止めましょう。
ストリングを結んでニッパーで切ったら、2つのクランプを下のレバーから上の順に外していきます。
ヘッド側の横糸1本をテンションを上げて張る
スターティングクランプで仮止めしていたヘッド側の1本を、テンションを10%くらい上げたまま、もう1度引っ張り直します。
スターティングクランプと当て革を外してから、クランプで固定します。
↓
ヘッド側の横糸を結んで止める
フレームの内側に「TIE OFF CROSS」と書いてあるホールに横糸を通します。
ヘッド側の横糸を、エイトノットで結んで止めます。
結んでニッパーで切ったら、クランプを下のレバーから上の順に外します。
目なおしして目飛ばしがないか確認
最後に、縦糸と横糸を目なおしして整えます。
こまめに目なおししていたら、それほど修正はないはずです。
張り間違い(目飛ばし)していないかも確認しておきましょう。
ガット張り機からラケットを取り外したら完成です。
初めてガット張りをするときは難しく感じると思います。
でも、下記に気をつけながら何回か張れば、慣れてくるはずです。
- 縦糸と横糸の仮止めの仕方
- 縦糸と横糸の両端はテンションを上げる
- ノットの作り方
- 横糸を上下間違えずに通す
自分でテニスのガット張り|事前に知っておきたい疑問3つに答えます
本記事の後半では、ガット張りで多い3つの疑問にお答えします。
- ガット張り機(ストリングマシーン)はどのタイプがいい?
- 1本張りと2本張りの違いは?
- ノットはどうしたらいい?
ガット張り機(ストリングマシーン)はどのタイプがいい?
ガット張り機(ストリングマシーン)には、下記の3種類があります。
- 電動式
- クランク式(バネ式)
- 分銅式
わたしは3つとも経験していますが、ストレスなくガット張りをしたいなら、
がおすすめです。
電動式の価格は高いですが、ストリングを引っ張る作業が楽ですし、時間も短縮できます。
分銅式のいいところは、
と
ところですね。
ただ、かなり面倒で張るのに時間がかかります。
ストリングを引っ張るときもクセがあります。(ナイロンとポリエステルで伸び方が全然違うので、希望のテンションを出すのにコツがいります。)
ガット張りのハードルを上げてしまう可能性大です。
現在、わたしは20年以上前に購入した分銅式を使っていますが、なかなかストリングを張る気になれません。
テニススクールでガット張りの仕事をしていたので、なんとか使えてる感じです。
1本張りと2本張りの違いは?
1本張りは、縦糸と横糸を1本で張る方法です。
ノットが2つで済み、ガットが緩みにくいメリットがあります。
わたしも生徒さんのラケットを張るときは、要望がないかぎり1本張りでした。(スクールが「ゴーセン張り」という張り方で統一していたため。)
本記事で解説した2本張りは、ノットが4つあるため、1本張りと比べるとガットが緩みやすいです。
ただ、ストリングを2本に分けるため、1本張りよりラケットのホールに通す長さが短くなり、楽に張れます。
ノットはどうしたらいい?
ノットのやり方はいくつかありますが、下記の順番に覚えるのがおすすめです。
- 【ステップ1】
- エイトノットをマスターする
- 【ステップ2 】
- ダブルノットをマスターする
「エイトノット」は1番覚えやすいですが、下記のデメリットがあります。
- ガットが緩みやすい
- グロメットが痛みやすい
- ナチュラルガットが張れない
ただ、エイトノットができるようになれば、ダブルノットも覚えやすくなります。
エイトノットに、一手間加えればダブルノットになるからです。(とはいえ、最初は2重にするところがきれいにいかないかも。)
ダブルノットは、縦糸にしっかり絡み、グロメットへの負担も少ない結び方。
わたしも、生徒さんのラケットを張るときはダブルノットを使用していました。
ナチュラルガットを自分で張ってみたい方は、ダブルノットをマスターしてから挑戦しましょう。
ダブルノットがわかりやすい動画はこちら⬇︎
本記事が、最初の1歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
ガット張りを覚えるには、数をこなすことが必須です。
あとは、張りながら知識を深めたり、さらなるテクニックを身につけていけばよいかと思います。