- 【テニスのバックハンド練習】元コーチが教える自主練の方法
- ボールが重くなるバックハンド強化練習【運動連鎖を磨く】
バックハンドストロークが苦手な生徒さんに使ったドリルや当時コーチ同士でやった練習をご紹介します。
バックハンドストロークの自主練としてご活用ください。
【テニスのバックハンド練習】元コーチが教える自主練の方法
バックハンドストロークの練習方法を下記の3つに分けて紹介します。
- 球出し練習
- ラリー練習
- 1人でできる練習
各練習で、必要に応じて下記も解説しています。
- その練習で何が磨かれるか
- その他のアレンジ
- 練習の補足や注意点
目的や環境に合うものをぜひチャレンジしてみてください。
球出し練習
初歩的な練習といえば球出しです。
近くから手で送る「手出し」と離れたところからラケットで送る「ラケット出し」があります。
手出し
近くから手でボールを送る「手出し(ハンドトス)」は、
ようになるのが目的です。
初心者の間、お世話になる練習かと思います。
始めは、横を向いてラケットを引いたところからスタートすると簡単です。
慣れてきたら、正面を向いてレディーポジションからスタートしてみましょう。
打ったらセンターマークへ戻りますが、複数人で練習する場合はもう1球横に動いて打って抜ける場合が多いです。
より簡単な方法として、打点の真上から落としたボールを打つ練習もあります。
スタンスを決めておき、テイクバックを済ませてからボールを打点の真上から落としてもらいます。
打点にボールを落としているため、その場でラケットを振るだけ。
ボールをとらえるタイミングがつかみやすいです。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
手出しである程度打てるようになったら、なるべく早くラケット出しの練習に切り替えましょう。
手出しでいくら練習しても、バックハンドストロークでラリーができるようにはなりません。
遠くからラケットで出してもらったほうが実戦に近い状況で練習ができます。
ラケット出し
離れたところからラケットで送る「ラケット出し」は、下記を習得するのに重宝します。
- 弾道を読みボールに入る
- ラケットを振り始めるタイミングをつかむ
ラリーできるようになるための必須の練習と言ってもいいでしょう。
ラリー練習の前段階として、負荷を落として打つ練習ができます。
ラリーと違ってボールが規則的に来るため、上記の習得もしやすいはずです。
もし、ラケット出しのボールをうまく打てないなら、下記からスタートすることをおすすめします。
- あらかじめスタンスを決めてテイクバックを済ませておく
- その場にボールを出してもらう
ここからスタートすれば、ボールとの距離を微調整するだけで済み、ラケットを振り始めるタイミングに集中して練習できます。
わたし自身、このスタートからの練習をやり込み、ボールとの距離や振り始めるタイミングをつかみました。(昔の話ですが…)
その後、スプリットステップから開始したり、動きながらバックハンドストロークを打つ練習にステップアップしていけばいいかと思います。
自主練だと自分たちでボールを出さないといけません。
ラケット出しは、コンチネンタルグリップで握って出します。
基本的にはネット越しから出すので、バックハンドストロークを練習する人から距離があります。
普段から球出しをしていないと、この距離からバックハンドストロークが打ちやすいようにボールを出すのは難しいかもしれません。
もし、バックハンドストロークをストレートに打つ練習なら、ネットの近くもしくはネットの手前からボールを出すと距離が短くなる分お互い簡単になります。
ただ、安全のため飛んでくるボールに当たらない位置から出すようにしましょう。(危険を感じるなら、右のシングルスサイドラインに寄って出しましょう。)
クロスとストレートの打ち分け練習
こちらもラケット出しの練習です。
テニススクールに通っている方なら、よくやる練習の1つだと思います。
コースを打ち分けることで、クロスとストレートの下記の違いを身体で覚えることができます。
- 打点
- ボールへの入り方
この練習をするとき、球出しする人はサービスラインとセンターサービスラインの交点辺りで出す場合が多いです。
もし、球出しでバックハンドストロークの打ち分けを強化するなら、アレーから出すことをおすすめします。
ゲーム中は、クロスラリーがベースになります。
したがって、クロスから来たボールをクロスへ返球もしくはストレートへコース変更する練習をしたほうが実戦で生きてきます。
わたし自身も、クロスから来たボールをストレートへコース変更する練習をかなり行いました。
2球クロスへ打ったら、1球ストレートへ打ち抜くような感じで繰り返しました。
この打ち分けができると、シングルスでバックハンドストロークのクロスラリーになったときエースがとれます。
相手はストレートもケアする必要があり、フォアハンドストロークで回り込みしづらくなります。
試合に出ていて、バックハンドストロークをダウンザラインに決められない人におすすめしたい練習です。
ラリー練習
球出し練習でバックハンドストロークのボールの入り方やラケットを振り始めるタイミングをつかんだら、ラリー練習でボールのコントロールを磨いていきましょう。
ラリー型式は、ボレスト(ボレー対ストローク)よりグランドストローク同士のラリーをおすすめします。
ボレストだと、グランドストローク側は打ったボールの軌道が見たくても途中で遮断されてしまいます。
バックハンドストロークで打ったボールがどこにバウンドしたかフィードバックするなら断然グランドストローク同士です。
アレーでバックハンド対フォアハンド
バックハンドストロークの練習でおすすめしたいのが、アレーでバックハンドストローク対フォアハンドストロークのラリーです。
この練習を繰り返し行うと、
ようになります。
アレーが、まっすぐ打てたかの目安です。
フォアハンドストローク側が台です。
フォアハンドストローク同士、アレーでラリーがつながるならチャレンジしたい練習です。
難易度を上げるなら、お互いバックハンドストロークを使ってアレーでラリー。
お互いバックハンドストロークに自信がないと、なかなかつながりません。
難易度を下げるなら、テニスコートの半面を使ってバックハンドストローク対フォアハンドストローク。
まっすぐコントロールする意識は薄れますが、バックハンドストロークでラリーをつなげる練習にはなります。
練習のポイントは、お互いにアレーを狙うだけではなく、相手が打ちやすい深さにボールをコントロールすることです。
ボールの球種にもよりますが、サービスラインよりラケット1本分くらい後ろにバウンドできると相手は打ちやすく、つながりやすいです。
バックハンドでクロスラリー
これは、バックハンドストロークの定番練習ですね。
右利きなら、アドバンテージサイド側でバックハンドストロークを使ってクロスラリーをします。
このラリー練習では下記を磨きます。
- クロスへ打てるボールの入り方
- クロスへのコントロール
シングルスを強化する場合は、打ったらセンターマーク近くまでサイドステップ(もしくはクロスステップしてからサイドステップ)で戻るようにします。
打つたびにセンターマーク付近に戻り、飛んでくるボールに移動するため、かなりしんどくなります…
2つほどアレンジ練習を紹介します。
- サービスコートでクロスラリー
- デュースサイドでクロスラリー
アドバンテージサイドのサービスコートでクロスラリーを行えば、薄い当たりのトップスピンをかけながらクロスへ打つ練習ができます。
これは、バックハンドストロークのショートクロスを打つ練習になります。
また、デュースサイドでバックハンドストロークのラリーを行うと、ボールを引きつけて打つ練習ができます。
肩を深く入れて、ボールの横側に回り込む動きが定着します。
ダブルスでデュースサイドを守っているなら、バックハンドストロークで打てるようにしておきたいコースです。
どのラリー練習をするにしても、打ってリカバーしたらクロスにいる相手と正対するように構えましょう。
クロスラリーの基本です。
これができていないとフォアバック片方のショットが打ちやすく、もう片方のショットが打ちづらくなります。
クロスラリーは漠然と打ち合うより、ターゲットを用意したほうがコントロールの精度が上がります。
- コーンを設置する
- ボール4つでピラミッドを作る
- フラフープを設置する
コーンはわかりやすいですが、ちょっと邪魔かもしれません。
レッスンでよく行ったのは、ボール4つでピラミッドを作る方法です。
よく、どちらが先にピラミッドを壊せるか勝負しました。
テニススクールにフラフープがあったので、フラフープを的代わりにしたこともあります。
フラフープにボールが当たらないかぎりはラリーが続くのでおすすめです。
サービスラインとベースラインの間を狙い、連続50往復するまで終われないクロスラリーをコーチ同士でやった記憶もあります。
サービスラインよりネット側にボールがバウンドすると、また0からやり直し。
この練習をやると小手先ではなく身体全体を使ってボールを飛ばせるようになりますが、当時バックハンドストロークがダメダメだったので本当にきつかったです…
1人でできる練習
そんな方は、1人でもできる練習を試してみてください。
ただし、テニスコートか壁打ちする場所を確保する必要があります。(ない場合は、次の章を参考にしてみてください。)
- コートで打ち分け練習
- 壁打ちで球出し練習
コートで打ち分け練習
テニスボールがある程度必要(最低でも5球)になりますが、自分でボールを上に放ってワンバウンドさせてから打つ練習です。
わたしがよくやったのは、アドバンテージサイドのベースライン付近からバックハンドストロークの打ち分け練習です。
この練習では、クロスとストレートの下記の違いを身体で覚えることができます。
- 打点
- ボールへの入り方
ストレートとクロスの打ち分けの他、ショートクロス・ストレートのトップスピンロブ・クロスのトップスピンロブなども練習しました。
また、アドバンテージサイドのサービスライン付近からバックハンドストロークの打ち分け練習(ストレートとクロス)もしました。
チャンスボールを打つときの弾道や深さがよくわかります。
1人でできる練習については、下記の記事も参考にしてください。
壁打ちで球出し練習
テニスコートでの球出し練習には劣りますが、壁打ちでの球出し練習も有効です。
壁打ちの良さは、
- 誰にも迷惑をかけず
- 自分のペースで
- 好きなだけ打てる
ところです。(混んでいたら、そうはいかないかもしれませんが…)
やり方は簡単です。
- 壁に向かってボールを出す
- 壁から飛んできたボールをバックハンドで打つ
- 1球打ったらやめる
ボールのコントロール練習としてはいまいちですが、日々この練習を繰り返すと下記がよくなっていきます。
- 打ったときの感触
- スイングスピード
壁打ちでの球出し練習をするときは、できるかぎりコートでの力加減を再現して打つことがポイントです。
壁打ちのラリー練習は、あまりおすすめしません。
壁打ちでの力加減や飛んでくるボールが実際のラリーとは違いすぎて、あまり効果がありません。
壁打ちについては、下記の記事を参考にしてください。
ボールが重くなるバックハンド強化練習【運動連鎖を磨く】
ジュニアのころからテニスに打ち込んできた人のボールを受けると、その重さに驚きます。
そして、どうしたらこんなボールが打てるのだろうと憧れます。
しかし、彼らとは打ってきたボールの数が違いすぎます。
1番いい方法は、長期スパンで球出し練習を反復すること。
死んだボールを自分の力で打ち抜く練習を長く継続すれば、バックハンドストロークの球質は変わります。
例えば、バックハンドストロークの球出しを100球打ち抜く練習を週5回ほどするとします。
日々の上達は上がり下がりしながら少しずつかもしれません。
ですが、1年後には別人のようなバックハンドストロークになっているでしょう。
とはいえ、この環境を継続して作るのはかなり難しいです。(できても、壁打ちでの球出し練習?)
この章では、運動連鎖を磨きバックハンドストロークを強化する方法を球出し練習以外で考えてみました。
メディシンボール投げ
球の質を上げるトレーニングで有名なのは、メディシンボール投げです。
特に両手バックハンドストロークの方は、動きが類似しているのでおすすめです。
片手バックハンドストロークも骨盤の回転を少なからず使うので、効果を発揮します。
メディシンボールは、下半身をうまく使わないと投げられません。
死んだボールを打ち抜く練習と同様、下半身を使い下からの運動連鎖を磨けます。
今はプロテニス選手のトレーニングの様子をYouTubeで見れますが、テニス特有のフットワークを組み合わせながらメディシンボール投げをしています。
わたしたちの場合、シンプルにスクエアスタンスで投げ合うだけで効果を実感できます。
もちろん、慣れてきたらオープンスタンスで投げ合うのもいいと思います。(顔が身体と一緒に回らないように注意!)
投げ合う相手がいなければ、外の壁に向かって投げれば練習可能です。
メディシンボールの重さは、軽めのものを選びましょう。
テニスラケットが300g前後なので、下記の重さでも十分な負荷を与えられます。
- 【1kg】
- →ラケットの3倍以上の重さ
- 【2kg】
- →ラケットの6倍以上の重さ
- 【3kg】
- →ラケットの10倍くらいの重さ
基本的には1kg、男性で力に自信がある方でも2kgのメディシンボールで十分かと思います。
欲張って5kg以上のものを使うと、上半身の余計な筋肉まで使ってしまい逆効果になりかねません。
素振り用グッズを使う
メディシンボール投げは、基本的に外で行うトレーニンググッズ。
自宅で1人黙々と鍛えるなら、「素振り用グッズ」を使う手があります。
ただ、素振り用グッズは運動連鎖を高めるというよりは腕っぷしを鍛えるような感じになります。
下半身より上半身に負荷をかけるため、メディシンボールと比べると効果は微妙かもしれません。
素振り用グッズはいろいろ購入しましたが、振っていて楽しくないし、続けたいと思うほどの効果を感じられませんでした。
そんな中で唯一よかったと感じたのは下記のアイテムです。
わたしは取り外しが面倒くさかったため、普段使わないラケットにつけっぱなしにして使用しました。
ラケットの重量が上がり空気抵抗に逆らいながら素振りをするため、やった感があり楽しいです。
ただ全力で振ると、実戦での力加減とかなり違ってしまい、ラケットを振るタイミングがズレる危険があります。
ボールを頻繁に打てる環境ならすぐに修正できるかと思います。
そうでない場合、素振りばかりしていると本来の振るタイミングを取り戻すのに時間がかかりそうです。
わたしはどちらかというとゆっくり大きく振って、身体の動きを確かめるのに使っていました。
それでも、バックハンドストロークで使う弱い筋肉に負荷をかけることができます。
素振りグッズがなくても、ラケットに付いているケースをしたまま素振りをすれば空気抵抗を利用できます。
⬆︎布もしくはナイロンの薄いケースがあれば可
ケースの上からグリップを握るため、ちょっと持ちにくいかもしませんが、効果は十分です。
テニスをする前に空気抵抗を使った素振りをすると、楽にラケットが振れる感覚が出るのでぜひやってみてください。
目的が合えば、どの練習もバックハンドストロークをレベルアップするのに役立ちます。
揺るぎないバックハンドストロークを手に入れるなら、あとは練習あるのみです!