- テニスコートの種類とそれぞれの特徴【テニスをするなら知っておきたい】
- さまざまなサーフェスに対応できるテニスシューズの選び方
普段と違うコートでテニスをすると、対応できるまで時間がかかることがあります。
試合だと最初の1試合(1セット)が終わるまでかかることもあります。
過去に同じタイプのコートで経験があれば、その分早くは対応できますが…
過去に経験したことがないコートでも、そのコートの特徴をあらかじめ理解していれば、少し状況は変わってきます。
普段と違うコートで、どう動けばいいか予測が立てやすくなるからです。
また、サーフェスの違いでプロテニスプレーヤーの打つボールや動き方、戦い方がどう変わるのかに注目するのもおもしろいと思います。
テニスコートの種類とそれぞれの特徴【テニスをするなら知っておきたい】
テニスコートには、いくつかのサーフェスがあります。
「サーフェス」とは、コート面の材質のこと。
主なサーフェスは、下記のとおりです。
- ハードコート
- クレーコート
- グラスコート
- カーペットコート
- 砂入り人工芝コート
サーフェスによって、以下の点が変わってきます。
- ボールの弾みやワンバウンドした後のスピード
- プレーヤーの動き方や身体にかかる負担
- 悪天候からの復旧
- コートのメンテナンス
各サーフェスが、どんなコートでどんな特徴か解説していきます。
ハードコート
「ハードコート」は、アスファルトやコンクリートを土台に、表面に合成樹脂などでコーティングしたサーフェスのことです。
1番オーソドックスなサーフェスとして知られており、テニスコートといえばハードコートを連想される方も多いかと思います。
土台と表面のコーティングの間にクッション層を重ね、身体への負担を和らげているハードコートもあります。
同じハードコートでも、素材や構造によってボールの弾みや球足、身体への負担が変わってきます。
ハードコートは世界中でもっとも広く普及されていて、プロのトーナメントでも多く使われています。
グランドスラム(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米の四大大会)だと、全豪オープンと全米オープンの2大会がハードコートです。
ハードコートの特徴
- 【ボールの弾み】
- →高い
- 【ボールのスピード】
- →速い
- 【イレギュラーバウンド】
- →ほとんどない
- 【シューズとの接地】
- →滑りにくい
- 【身体への負担】
- →大きい
ハードコートはサーフェスが硬いため、ボールは高く弾み、球足は早くなります。
イレギュラーバウンドがほとんどなく、バウンド後の軌道は予測しやすくなります。
クレーコートやオムニコートと違い、サーフェスのコンディションが安定しているため、思ったとおりにボールが飛んできます。
シューズは滑りにくく、足腰の筋肉や関節への負担がもっとも大きいサーフェスです。
雨が降ってコート表面が濡れてしまうと、滑るためテニスをするのは危険です。
コート整備は必要なく、手間がかかりません。
クレーコート
クレーコートとは、土で重ねた層の上に砂がまかれたサーフェスのことです。
使われる素材はさまざまで、コートによってボールの弾みや球足、滑りやすさが変わってきます。
日本では、学校の運動場のような粘土質の地面に細かい砂をまいたクレーコートが普及しています。
海外では人工土を使用しており、レンガを砕いてつくられたアンツーカ「レッドクレー」や変成岩を砕いてつくられた「グリーンサンドクレー」があります。
クレーコートは、ヨーロッパや南米で広く普及しており、国際大会でも4月から6月上旬までクレーコートシーズンがあります。
グランドスラム(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米の四大大会)だと、全仏オープンがアンツーカを用いたレッドクレーです。
クレーコートの特徴
- 【ボールの弾み】
- →高い
- 【ボールのスピード】
- →遅い
- 【イレギュラーバウンド】
- →あり
- 【シューズとの接地】
- →滑りやすい
- 【身体への負担】
- →少ない
使用している土や乾き具合にもよりますが、トップスピンのかかったボールは高く弾み、アンダースピンのかかったボールはよく止まります。
クレーコートはボールがバウンドしたときに失速し、サーフェスの中で1番球足が遅いです。
コートにでこぼこな箇所があったり、ライン上にボールが落ちると、イレギュラーバウンドします。
コートコンディションにもよりますが、シューズは滑りやすくスライディングしながらボールを拾うことができます。
やわらかい土が足腰の筋肉や関節への負担を和らげてくれるため、身体への負担は少ないです。
大雨が降ってしまうと、コートコンディションが戻るまでかなりの時間がかかります。
クレーコートをレンタルするときは、使用後にブラシがけとライン掃きをします。
クレーコートは維持管理が大変で、非常に手間がかかるサーフェスです。
グラスコート
グラスコートとは、天然の芝生を使ったサーフェスのことで、別名ローンコートとも呼ばれています。
天然芝や下地の状態でボールの弾みが変わってしまうため、維持管理が最も難しいサーフェスです。
維持管理が大変なグラスコートは世界的に少なく、国際大会でもわずかしかありません。
グランドスラム(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米の四大大会)だと、もっとも歴史の長いウィンブルドンがグラスコートです。
日本でもグラスコートがほとんどなく、テニスをする機会が1番少ないサーフェスです。
グラスコートの特徴
- 【ボールの弾み】
- →低い
- 【ボールのスピード】
- →速い
- 【イレギュラーバウンド】
- →あり
- 【シューズとの接地】
- →滑りやすい
- 【身体への負担】
- →少ない
グラスコートは、天然芝の影響でボールの弾みは低く、球足はサーフェスの中で1番速いです。
また、イレギュラーバウンドもあるため、他のサーフェスよりラリーが続きにくいです。
シューズは滑りやすく、プロテニス選手ですら試合中に転倒する場面をよく目にします。
天然芝を使用しているだけあって、身体への負担は少ないです。
グラスコートは雨に弱く、芝が濡れるとさらに滑るようになります。
維持管理は、他のサーフェスでは考えられないくらい労力がかかります。
毎日のメンテナンスが必要で、作業は多岐にわたります。
天然芝は育成するだけではなく、芝の密度や長さを調整し、ボールの弾みを維持します。
また、クレーコートと同様に下地を固めるローラー転圧やコートのライン引きも行います。
カーペットコート
カーペットコートは、毛足の短いカーペットのような素材を表面に敷いたサーフェスです。
表面はやわらかく、転んでもハードコートのように痛くはありません。
カーペットコートは、インドアのテニススクールで採用されています。
インドアのテニススクールは天候に関係なくテニスを楽しめることが最大のメリットで、身体にやさしいカーペットコートがマッチしています。
また、冷暖房を完備しているところが多く、季節に関係なく快適な空間でテニスができます。
カーペットコートの特徴
- 【ボールの弾み】
- →低め
- 【ボールのスピード】
- →速い
- 【イレギュラーバウンド】
- →なし
- 【シューズとの接地】
- →滑りにくい
- 【身体への負担】
- →少ない
ボールの弾みは低めで、球足は速いです。
細かく足を動かさなくても、待っていればボールが打てることが多いです。
イレギュラーバウンドもなくテンポよくラリーができるので、テニスがうまくなった気がします。(他のサーフェスでテニスをするとがっくりきます…)
シューズは滑りにくく引っかかりやすいため、カーペット専用のものが販売されています。
カーペットはやわらかい素材なので、身体への負担は少ないです。
インドアで採用されているため雨の影響はなく、レンタル時にコート整備は必要ありません。
ただ、カーペットにいろいろなものが付着してしまうため、定期的に巨大な掃除機をかける必要があります。
砂入り人工芝コート(オムニコート)
砂入り人工芝コートは、人工芝の上に細かい砂を敷き、接地面の摩擦を適度に減らしたサーフェスのことです。
砂入り人工芝コートはメーカーによって名前が違いますが、実績と認知度そして呼びやすさから「オムニコート」が有名です。
水はけがよく管理もしやすいため、雨の多い日本の環境に合ったサーフェスといえます。
日本では多く普及されている砂入り人工芝コートですが、他の地域ではあまり見られないサーフェスで、プロが回る海外の大会では使用されていません。
砂入り人工芝コートの特徴
- 【ボールの弾み】
- →低め
- 【ボールのスピード】
- →遅くなる
- 【イレギュラーバウンド】
- →少ない
- 【シューズとの接地】
- →適度な滑り
- 【身体への負担】
- →少なめ
サーフェスがボールの回転やスピードを多少吸収してしまう感じです。
人工芝が歪んでいたり、撒いた砂が偏っていたりするとイレギュラーバウンドすることがあります。
人工芝に撒いている砂の量にもよりますが、適度に滑りやすく、身体への負担は少なめです。
多少の雨が降っても、水溜りができなければなんとかテニスができます。
また、砂入り人工芝コートの排水性は高く、水溜りができたとしても雨が止めば比較的早くプレーを再開できます。(ただし、建物の屋上にコートがある場合、水溜りはすぐになくなりません。)
よく使うエリアの砂がなくなっていきますので、レンタルした際はコートブラシをかけて砂を戻すようにします。
人工芝に撒いてある砂は次第に減っていきますので、定期的に砂まきが必要になります。
さまざまなサーフェスに対応できるテニスシューズの選び方
さまざまなサーフェスがありますが、どのメーカーもテニスシューズの種類は主に3種類です。
- オールコート用
- オムニ・クレー用
- カーペットコート用
複数のサーフェスに対応するなら2足揃えよう
結論から言うと、「オールコート用」と「オムニ・クレー用」の2足を揃えればさまざまなサーフェスに対応できます。
同じメーカーの同じモデルで「オールコート用」と「オムニ・クレー用」を揃えれば、比較的違和感はありません。
使い分けは下記のとおりです。
- 【オールコート用】
- →ハードコート
- →カーペットコート
- →グラスコート
- 【オムニ・クレー用】
- →砂入り人工芝コート
- →クレーコート
そう思うかもしれません。
ややこしいですが、オールコート用のテニスシューズはハードコート用に作られています。
クレーコートや砂入り人工芝コートではソールの構造上、砂で地面がつかみづらく若干滑ります。
使えなくはないですが、止まるのに余計な力を使うので、パフォーマンスは間違いなく落ちます。
【オールコート用】ハードコートがメインのシューズ
⬆︎わたしが愛用しているアシックスのオールコート用エントリーモデル。定期的な買い替えを考えると安価で助かります。
⬆︎こちらは同じモデルの女性用です。
オールコート用のシューズは、商品名の最後に「AC」(ALL COURT)が付いたものです。
オールコート用は、ハードコート向けに作られていますので、ハードコートでテニスをしている方にはベストチョイスと言えるでしょう。
また、多くの生徒さんがカーペットコートでオールコート用を使っています。
わたし自身、オールコート用シューズでカーペットコートでテニスをしていましたが、問題を感じませんでした。
カーペットコートでしかテニスをしない方やオールコート用だとソールがカーペットに引っかかると感じる方は、「カーペット用」を使うといいでしょう。
⬆︎アシックスのカーペット用エントリーモデル(男性)
⬆︎アシックスのカーペット用エントリーモデル(女性)
「カーペット用」のテニスシューズはオールコート用と違いソールに溝がほとんどなく、摩擦が強いカーペットでも引っかからないように作られています。
滅多にないとは思いますが、グラスコートでテニスをする機会があれば、オールコート用で対応します。(オムニ・クレー用のシューズは芝が傷むため使えない施設もあります。)
【オムニ・クレー用】砂入り人工芝コートとクレーコートに対応できるシューズ
⬆︎わたしが愛用しているアシックスのオムニ・クレー用エントリーモデル。定期的な買い替えを考えると安価で助かります。
⬆︎こちらは同じモデルの女性用です。
オムニ・クレー用のシューズは、商品名の最後に「OC」(OMNI・CLAY)が付いたものです。
メーカーによっては、商品名の最後に「GC」か「CG」が付いています。(Gは「GRASS SAND」、Cは「CLAY」の意味です。
オムニ・クレー用テニスシューズは、砂入り人工芝コートとクレーコートに対応しています。
オムニ・クレー用のソールは、砂や土が入り込む溝があり、地面をしっかりつかめるような構造になっています。
ソールが削られてしまうと十分なグリップ力が発揮されず滑ってしまいますので、定期的に買い替えるようにしましょう。
砂入り人工芝コートやクレーコートでしかテニスをしない方は、この1足を購入すればOKです。
高機能のシューズを体感したい、ゲーム中に足元でアドバンテージをとりたいという方でなければ、最初の1足はエントリーモデルで問題ないです。(わたし自身、現在エントリーモデルを使用しています。)
シューズは消耗品なので、買い替えるときに他のモデルを試すのもおもしろいかと思います。
どのサーフェス用に購入するかだけは気をつけてください!