- テニスのクレーコートとは?特徴をわかりやすく解説
- クレーコートでテニスをするときに気をつけたいこと
クレーコートのテニススクールでアルバイトをしていた時期もあります。
今も覚えているのは、雨でよくレッスンが中止になったこと、他のサーフェスと比べてメンテナンスが大変なことです。
そんなわたしの経験も踏まえて、クレーコートについて解説します。
テニスのクレーコートとは?特徴をわかりやすく解説
テニスコートには、いくつかのサーフェスがあります。
「サーフェス」とは、コート面の材質のこと。
主なサーフェスは、下記のとおりです。
- ハードコート
- クレーコート
- グラスコート
- カーペットコート
- 砂入り人工芝コート
サーフェスによって、以下の点が変わってきます。
- ボールの弾みやワンバウンドした後のスピード
- プレーヤーの動き方や身体にかかる負担
- 悪天候からの復旧
- コートのメンテナンス
「クレーコート」はどんなサーフェスか、どんな特徴があるのか見ていきましょう。
テニスのクレーコートとは?
クレーコートとは、土で重ねた層の上に砂がまかれたサーフェスのことです。
使われる素材はさまざまで、コートによってボールの弾みや球足、滑りやすさが変わってきます。
日本では、学校の運動場のような粘土質の地面に細かい砂をまいたクレーコートが普及しています。
海外では人工土を使用しており、レンガを砕いてつくられたアンツーカ「レッドクレー」や変成岩を砕いてつくられた「グリーンサンドクレー」があります。
クレーコートは、ヨーロッパや南米で広く普及しており、国際大会でも4月から6月上旬までクレーコートシーズンがあります。
クレーコートシーズンでは、欧米のクレー育ちの選手が力を発揮します。
ヨーロッパではアンツーカを用いたレッドクレーが採用されており、南米ではグリーンサンドクレーが親しまれています。
グランドスラム(全豪・全仏・ウィンブルドン・全米の四大大会)だと、全仏オープンがクレーコートです。
フランスの首都パリで開催される全仏オープン(ローラン・ギャロス)は、アンツーカを用いたレッドクレーです。
クレーコートの特徴
次に、クレーコートの特徴についてです。
ボールがコートにバウンドすると
ボールがコートにバウンドすると、下記のようになります。
- 【ボールの弾み】
- →高い
- 【ボールのスピード】
- →遅い
使用している土や乾き具合にもよりますが、トップスピンのかかったボールは高く弾みます。
特に、土が乾燥していると弾みは大きくなります。
また、クレーコートはボールがバウンドしたときに失速します。
サーフェスの中では、1番球足が遅いです。
コートにでこぼこな箇所があったり、ライン上にボールが落ちると、イレギュラーバウンドします。
これらの特徴があるため、クレーコートではベースラインのかなり後ろでプレーする選手が多いです。
他のサーフェスと比べると、長いストローク戦になりやすいです。
単発のショットでは決まりづらいため、相手を崩すさまざまな戦術と長いラリー戦に耐えられる強靭な体力が求められます。
クレーコートで圧倒的な強さを誇るラファエル・ナダル選手のプレーをイメージすればわかるかと思います。
プレーヤーへの影響
クレーコートは、プレーヤーにどのような影響があるでしょうか?
- 【シューズとの接地】
- →滑りやすい
- 【身体への負担】
- →少ない
クレーコートは滑りやすく、スライディングしながらボールを拾うことができます。(コートコンディションにもよりますが…)
また、他のサーフェスと比べると、身体への負担が少ないのが特徴です。
やわらかい土が、足腰の筋肉や関節への負担を和らげてくれるためです。
雨の影響やコートの整備・メンテナンス
クレーコートの雨の影響やコートの整備・メンテナンスについて解説します。
雨の影響
雨が降り続けると、コートはやわらかくなるためボールは弾まなくなり、足の踏ん張りが効かなくなります。
水溜まりができるまでプレーできるオムニコートのようにはいきません。
また、大雨が降ってしまうとコートコンディションが戻るまでかなりの時間がかかります。
雨が止んだらすぐできるオムニコートや水はきして乾けばできるハードコートに比べると、雨に弱いサーフェスといえます。
レッスンや試合会場がクレーコートの場合は、雨が止んでかなりの時間が経っていてもテニスができるかどうかの確認を事前にしておくといいでしょう。
コートの整備
クレーコートをレンタルするときは、使用後(もしくは使用前も)に、コートブラシをかけて部分的に片寄った砂を戻すようにします。
そのあと、砂で隠れたラインが見えるようにライン掃きをします。
コートのメンテナンス
クレーコートのメンテナンスは、かなり手間がかかります。
「ブラシがけ」や「ライン掃き」以外に、下記の作業が必要になります。
- 【でこぼこ部分を平らに手直し】
- →転倒などの事故防止
- 【散水】
- →土に含まれる水分量をコントロール
- 【砂まき】
- →ブラシがけを併用しコート表面を保護
- 【ローラー転圧】
- →コート亀裂の未然防止と補修
- 【塩化カルシウムの散布】
- →夏は保湿させて防塵、冬は凍結防止のため
土が乾燥してしまうとコートに亀裂が入るため、散水(コートへの水まき)をプレー前やプレー中、しばらくコートを使わないときも定期的に行います。
散水後、プレー後、雨上がり(土が少し乾燥してから)に、ローラー転圧を行います。
その他、長年使って破れてしまったラインを貼り替えたりもします。
大量に刺さっている釘を抜いて、新しいラインに貼り替える作業です。
クレーコートでテニスをするときに気をつけたいこと
クレーコートの特徴を理解したら、実際にプレーするとき気をつけたいことを頭に入れておきましょう。
クレーコートに適したシューズ
クレーコートでテニスをするとき、最初に気をつけたいのがシューズです。
クレーコートでは、「オムニ・クレーコート用」のテニスシューズを用意しましょう。
オムニ・クレーコート用のソールは、砂や土が入り込む溝があり、地面をしっかりつかめるような構造になっています。
どのコートにも対応しているオールコート用のソールは、基本的にはハードコート用に作られており、ベストな選択とはいえません。
溝に砂が入ると地面がつかめず、滑って転倒する危険があります。
また、オムニ・クレーコート用のシューズでも、ソールが削れてしまうと十分なグリップ力が発揮されず、滑ってしまいます。
⬆︎わたしが愛用しているアシックスのオムニ・クレーコート用エントリーモデル。定期的な買い替えを考えると安価で助かります。
⬆︎こちらは同じモデルの女性用です。
クレーコートで気をつけること
クレーコートでは、球足が遅くなるため長いラリー戦になりやすいです。
単発で決めようとせず、粘り強くつなげながら相手を崩していく戦略が必要になります。
トップスピンをかけながらコンスタントに打てると、ミスは減り相手を後方へ追いやることができます。
また、トップスピンとセットで有効なのがドロップショットです。
アンダースピンがかかったドロップショットは、クレーコートではバウンド後に止まるため相手を大きく前後に揺さぶることができます。
トップスピンで相手を後方へ追いやっていれば、さらに効果的です。
他サーフェスとの比較
クレーコートと他サーフェスでは、プレーするうえでどんな違いがあるのでしょうか?
- 普段ハードコートやオムニコートでテニスをしている方がクレーコートでテニスをする場合
- 普段クレーコートでテニスをしている方がハードコートやオムニコートでテニスをする場合
それぞれどんなことに気をつけたらいいのかをまとめました。
ハードコートと何が違う?
普段ハードコートでプレーしている方が、クレーコートでテニスをすると下記のように感じます。
- 球足が遅くなる
- 回転の影響を受けやすくなる
- 止まるとき滑る
バウンド後のスピードはかなり落ちます。
相手の球威を利用しづらくなり、自分でボールを飛ばす必要があります。
また、クレーコートではボールの回転が反映されやすいです。
トップスピンのかかったボールは高く弾み、アンダースピンのかかったボールは止まるように弾みます。
ハードコートと違ってイレギュラーバウンドもあるので、バウンド後のボールの動きに注意しましょう。
また、ハードコートと同じように動くと、滑って転倒しますので気をつけましょう。
逆に、普段クレーコートでプレーしている方が、ハードコートでテニスをすると球足の早さに苦労します。
クレーコートで返球できていたボールが、ハードコートでは返らなくなります。
しっかりタメて打つ機会は減り、テンポよく攻めるテニスが求められます。
オムニコートと何が違う?
普段オムニコートでプレーしている方が、クレーコートでテニスをすると下記のように感じます。
クレーコートの乾き具合にもよりますが、ボールはバウンド後に高く弾みます。
普段より高い打点で打たられるので、打点を落としたければ立ち位置を後方に下げる必要があります。
逆に、普段クレーコートでプレーしている方が、オムニコートでテニスをするとボールのバウンドが低く感じます。
トップスピンやアンダースピンをかけたときの変化が少なくなり、回転の威力は減少します。
また、走って止まるときのスライドには注意が必要です。
人工芝に砂を撒いたオムニコートでは、不規則に滑るためクレーコートと同じようなスライドは難しくなります。
サーフェスの特徴を頭と身体で理解していれば、優位な状態でテニスがプレーできます。
ぜひ本記事の内容を活かして、クレーコートでテニスを楽しんでください。