- テニスのオムニコート(砂入り人工芝コート)とは?特徴をわかりやすく解説
- オムニコート(砂入り人工芝コート)でテニスをするときに気をつけたいこと
当時はアウトドアのオムニコートでレッスンをし、練習もそこでたくさんやらせていただきました。
わたしにとってオムニコートはホームグラウンド(ホームコート?)のようなもの。
オムニコートのいいところから大変なところまで、すべて解説します。
テニスのオムニコート(砂入り人工芝コート)とは?特徴をわかりやすく解説
テニスコートには、いくつかのサーフェスがあります。
「サーフェス」とは、コート面の材質のこと。
主なサーフェスは、下記のとおりです。
- ハードコート
- クレーコート
- グラスコート
- カーペットコート
- 砂入り人工芝コート
サーフェスによって、以下の点が変わってきます。
- ボールの弾みやワンバウンドした後のスピード
- プレーヤーの動き方や身体にかかる負担
- 悪天候からの復旧
- コートのメンテナンス
本記事で解説するオムニコートは、砂入り人工芝コートのことを指します。
テニスのオムニコートとは?
砂入り人工芝コートは、人工芝の上に細かい砂を敷き、接地面の摩擦を適度に減らしたコートのことです。
「オムニコート」は商品名で、ダンロップの住友ゴムグループから生まれた砂入り人工芝コートのことです。
ただ、その実績と認知度そして呼びやすさから、砂入り人工芝コートは「オムニコート」の名で広がっていきました。
「オムニコート」は、1980年代にオーストラリアと同タイプ商品の導入が検討され、日本へ普及していきました。
現在では、日本国内で最も多いサーフェスとなっており、よく見かけるかと思います。
水はけがよく管理もしやすいため、雨の多い日本の環境に合ったサーフェスといえます。
日本では多く普及されている砂入り人工芝コートですが、他の地域ではあまり見られないサーフェスで、プロが回る海外の大会では使用されていません。
そのため、世界に通用する選手を育成することを考えると、この砂入り人工芝コートが障害になっているといわれています。
海外の大会で主に使用されているのはハードコートやクレーコートなので、同じサーフェスで練習してそのコート独自の戦術やテクニックを磨く必要があるわけです。
とはいえ、わたしたちテニス愛好家やテニスコートの管理者にとって砂入り人工芝コートは、雨が降った後の回復が早く、非常にありがたいサーフェスです。
オムニコート(砂入り人工芝コート)の特徴
次に、オムニコートの特徴についてです。(以下、砂入り人工芝コートをオムニコートで表記します。)
ボールがコートにバウンドすると
ボールがコートにバウンドすると、下記のようになります。
- 【ボールの弾み】
- →低め
- 【ボールのスピード】
- →遅くなる
サーフェスがボールの弾みやスピードを多少吸収してしまう感じです。
雨でコートが濡れると、上記の特徴はより顕著に表れます。
また、人工芝が歪んでいたり、撒いた砂が偏っていたりするとイレギュラーバウンドすることがあります。
プレーヤーへの影響
オムニコートは、プレーヤーにどのような影響があるでしょうか?
- 【シューズとの接地】
- →適度な滑り
- 【身体への負担】
- →少なめ
人工芝に撒いている砂の量にもよりますが、適度に滑りやすく、スライディングもできます。
身体への負担は少なめで、オムニコートの長所の1つになっています。
ただシューズに砂が入るので、テニスをした後は入った砂をコートに戻すことをおすすめします。
雨の影響やコートの整備
オムニコートの雨の影響やコートの整備について解説します。
雨の影響
オムニコートでは、多少の雨が降っても水溜りができなければなんとかテニスができます。
これは、他のサーフェスではできないことです。
また、オムニコートの排水性は高く、水溜りができたとしても雨が止めば比較的早くプレーを再開できます。
人工芝から地面に向けて水が通り抜ける仕様になっており、撒いてある砂も水を吸収して排水を促進します。
ただし、建物の屋上にある砂入り人工芝コートの場合、水溜りはすぐになくなりません。
水溜りは、下記のようなローラーで吸いとる必要があります。
わたし自身、屋上の砂入り人工芝コートで勤務していた時期があり、吸水ローラーで水を吸って捨てる作業を繰り返すのは大変でした。
コートの整備
オムニコートは、よく使うエリアの砂がなくなっていきます。
使用後(もしくは使用前)に、コートブラシをかけて砂を戻すようにします。
コート1面をブラシがけする場合は、半面の外側(コート外のエリアも含む)を回りながらかけて徐々に内側をかけるようにします。
雨でコートが濡れている場合は、コートブラシはかけません。
砂が思うように広がらず、だまになるからです。
定期的に砂まきが必要
人工芝に撒いてある砂は次第に減っていきます。
強風で砂が飛んでいったり、雪が積もると雪かきで砂まで一緒に持っていかれることもあります。
砂がない状態でテニスをすると、シューズがコートに引っかかるようになり転倒する危険があります。
そのため、オムニコートでは定期的に砂まきが必要になります。
オムニコートでテニスをするときに気をつけたいこと
オムニコートの特徴を理解したら、実際にプレーするとき気をつけたいことを頭に入れておきましょう。
オムニコートに適したシューズ
オムニコートでテニスをするとき、最初に気をつけたいのがシューズです。
オムニコートでは、「オムニ・クレーコート用」のテニスシューズを用意しましょう。
オムニ・クレーコート用のソールは、砂や土が入り込む溝があり、地面をしっかりつかめるような構造になっています。
どのコートにも対応しているオールコート用のソールは、基本的にはハードコート用に作られており、ベストな選択とはいえません。
溝に砂が入ると地面がつかめず、滑って転倒する危険があります。
また、オムニ・クレーコート用のシューズでも、ソールが削れてしまうと十分なグリップ力が発揮されず、滑ってしまいます。
⬆︎わたしが愛用しているアシックスのオムニ・クレーコート用エントリーモデル。定期的な買い替えを考えると安価で助かります。
⬆︎こちらは同じモデルの女性用です。
オムニコートで気をつけること
オムニコートは、バウンド後のボールの弾みは若干低めでスピードも遅くなるため、初心者にもタイミングが合いやすいサーフェスです。
気をつけることは、人工芝に撒いてある砂の量や雨の影響で、ボールの弾みやシューズのグリップ力が変わってしまうことです。
そのときの状況に合わせてプレーすることが求められます。
他サーフェスとの比較
オムニコートと他サーフェスでは、プレーするうえでどんな違いがあるのでしょうか?
- 普段ハードコートやクレーコートでテニスをしている方がオムニコートでテニスをする場合
- 普段オムニコートでテニスをしている方がハードコートやクレーコートでテニスをする場合
それぞれどんなことに気をつけたらいいのかをまとめました。
ハードコートと何が違う?
普段ハードコートでプレーしている方が、オムニコートでテニスをすると下記のように感じます。
- 球足が遅くなる
- 止まるとき滑る
バウンド後のスピードは少し落ちます。
相手の球威を利用しづらくなります。
ボールを待ちきれず、打ちにくいと感じるかもしれません。
また、砂が多いところで止まるときは滑るようになるので、スライディングを前提にしたフットワークに変える必要があります。
逆に、普段オムニコートでプレーしている方が、ハードコートでテニスをすると少し苦労するかもしれません。
ボールは弾み球足が早くなるので、テイクバックの準備を早めたり、普段より早いタイミングで打つ工夫が必要になります。
クレーコートと何が違う?
普段クレーコートでプレーしている方が、オムニコートでテニスをすると下記のように感じます。
イレギュラーバウンドする確率は減ります。
そして、コートにバウンドしたとき、ボールの回転の影響を受けにくくなります。
トップスピンやアンダースピンのかかったボールの威力が、良くも悪くも半減してしまいます。
逆に、普段オムニコートでプレーしている方が、クレーコートでテニスをすると高く弾むボールに苦戦するかもしれません。
トップスピン主体のプレーヤーは優位に戦えますが、フラット主体のプレーヤーは普段より高い打点で打たされるためボールをコートへ収めるのに苦労します。
サーフェスの特徴を頭と身体で理解していれば、優位な状態でテニスがプレーできます。
ぜひ本記事の内容を活かして、オムニコートでテニスを楽しんでください。