- 【誰もが経験する】テニスが難しいと感じる3つの理由
- テニスが難しいをやわらげる方法【元テニスコーチが解説】
その難しさを克服していくことがテニスの醍醐味であり、続けられる理由だと思っています。
とはいっても、テニスが特別難しいスポーツというわけではなく、どのスポーツにもそれぞれの難しさがあります。
本記事は、わたしが感じたテニスの難しさとそのハードルを下げる方法について書いています。
【誰もが経験する】テニスが難しいと感じる3つの理由
テニスが難しいと感じる点は、レベルによって人によって違ってきます。
また、テニスが難しいと感じる理由は1つではなく、複数の「難しい」が絡み合っている場合もあります。
本記事では、テニスが難しいと感じる理由を大きく3つに分けて解説します。
- 技術を習得するのが難しい
- 道具と環境に対応するのが難しい
- 複雑なルールを覚えるのが難しい
技術を習得するのが難しい
テニスをしていれば、誰もが難しいと感じるのが「技術の習得」です。
テニスは、場面によって適したショットが違い、簡単に書き出しても下記のようにたくさんあります。
- 【初球を相手サービスボックスに入れる】
- →サーブ
- 【ワンバウンドで打つ】
- →フォアハンドストローク
→バックハンドストローク - 【ノーバウンドで打つ】
- →フォアハンドボレー
→バックハンドボレー - 【高く上がったボールをたたく】
- →スマッシュ
これらタイプの違うショットをすべて習得し、ポイントを奪うために相手コートの隅々までコントロールしなければいけません。
相手コートの隅々を狙うためには、ストレート・クロス・逆クロスといったコースの打ち分けだけではなく、特殊なショットも練習することになります。(アングルショットやドロップショットなど。)
また、相手もポイントを奪うためにコートの隅々まで狙ってくるので、ボールを打つためにさまざまなフットワークを使ったり、そのボールに合うようにスイングを変化させたり、打つタイミングを変えたりする必要があります。
テニスでは難しい技に分類されるジャンピングスマッシュを必要とする場面にも遭遇します。
道具と環境に対応するのが難しい
テニスは、ご存じのとおりラケットとボールを使うスポーツです。
最初は、テニスボールがどんな軌道でどんな弾み方をするのかを予測するのが難しいです。
球技経験者ならボールに慣れるのは早いかもしれませんが、300g近くあるテニスラケットを扱うのに苦戦します。
また、テニスコートにはさまざまなサーフェスがあります。
ハードコート、オムニ(砂入り人工芝)コート、クレーコート、カーペットコート、グラスコートです。(グラスコートは日本にほとんどありませんが…)
サーフェスによって、ボールの弾み方が違います。(コートに合ったテニスシューズも必要になります。)
コートのサーフェスが変わるたびに、それに対応しなければなりません。
さらに、外でテニスをする場合、日差しでボールが見づらかったり、風でボールの軌道や弾みが変化してしまい厄介です。
複雑なルールを覚えるのが難しい
テニスのルールはかなり複雑で、1回聞いて覚えられるようなものではありません。
スコアのカウント方法、コートチェンジや休憩のタイミング、サーブ権(特にダブルス)など覚えることがかなりあります。
特にスコアのカウント方法は、下記を組み合わせてゲームをすることになります。
- 各ゲームのポイント
- ゲームのカウント
- タイブレーク
- セットのカウント
各ゲームのポイント
スコアのカウントで最初に戸惑うのは「各ゲームのポイント」です。
ゲームは基本的に4点先取ですが、ポイントのコールが下記のように違います。
- 0ポイント→ラブ(0)
- 1ポイント→フィフティーン(15)
- 2ポイント→サーティー(30)
- 3ポイント→フォーティー(40)
- 4ポイント→ゲーム
さらに、3-3(40-40)になると「デュース」になり、2ポイント差をつけるまでゲームはとれません。(デュースの後の「アドバンテージ・サーバー」と「アドバンテージ・レシーバー」というコールも特殊です。)
ゲームのカウント
とったゲームをカウントしていき、6ゲーム先取するとセットがとれます。
もし、ゲームカウントが5-5になると、タイブレークでセットの勝者を決めることが多いです。
タイブレーク
タイブレークでは、各ゲームのポイントとは違う方法でカウントするので、これまた厄介です。
タイブレーク中、サーブ権が目まぐるしく変わり、コートチェンジも行います。
セットのカウント
3セットマッチや5セットマッチになると、ゲームのカウントの他、セットのカウントまで必要になります。
- 【3セットマッチ】
- →先に2セットとったら勝ち
- 【5セットマッチ】
- →先に3セットとったら勝ち
テニスが難しいをやわらげる方法【元テニスコーチが解説】
テニスを始めて初期のころに感じるテニスの難しさ。
テニスコーチをしていたわたしが、テニスのハードルを下げる方法を解説します。
- 核となる基本ストロークを簡単な練習で習得する
- 自分に適した道具とやさしい環境から始めてみる
- ルールを分割してゲームする
核となる基本ストロークを簡単な練習で習得する
残念ながら、テニスの技術を習得するのにショートカットする方法はなく、時間がかかります。
ですが、遠回りしない方法ならわかります。
それは、「核となる基本ストロークを簡単な練習で習得する」ことです。
簡単な練習とは、もっとも負荷がかからない状態(手出しや球出しを打ちやすいところに送る)でボールを打つことです。
要するに、テニススクールの初心者向けクラスの練習内容で、基本ストロークをしっかり習得することが遠回りしない秘訣です。
理由は、基本ストロークができていなければ、いくら応用練習をしてもなかなか身につかないからです。
応用練習は、基本ストロークがある程度打てるようになった状態で、さらに磨きをかけるために行うものです。
例えば、フォアハンドストロークの応用練習としてオープンスタンスを練習するとき、軸足の股関節を折り込み骨盤から上(つまり上体)を横向きになるまでターンします。
初めてやる方には、かなり難しい動作だと思います。
この動作を意識しながら練習しますが、もしフォアハンドストロークのスイングができていない状態でやるとどうなるでしょうか?
フォアハンドストロークのスイングとオープンスタンスの両方を意識しながら打つことになります。
オープンスタンスがテーマなのだから、スイングは一旦置いといて練習すればいいのかもしれません。
しかし、これだとオープンスタンスでうまく打てたという感触は味わえないでしょう。
まずは、身体が横向きからスタートできるスクエアスタンスをとり、簡単な練習でスイングを習得してから、オープンスタンスにチャレンジするべきです。
そんなの当たり前だろうと思うかもしれませんが、テニススクールのグループレッスンではこのような状況に陥りやすいです。
特に、生徒さんにとって苦手なショットは、基本がまだできていない状態で応用練習をやらされている感じになります。
プライベートレッスンなら、生徒さんのレベルに合わせて段階的に練習できますが、グループレッスンだとそういうわけにもいきません。
もちろん、そのとおりです。
できることばかりやっていては、それ以上の上達は望めません。
簡単な手出しや球出しで基本的な動きを身につけたら、下記のようにできることを広げていくことは必要です。
- コースを打ち分ける
- 動きながら打つ
- 打つ高さを変える
- 打つタイミングを変える
- ボールの回転(量)を変える
- ラリーをする
- ゲームをする
でも、まずは簡単な練習で核となる基本ストロークを習得することに力を注いでみてください。
やり方はいろいろあります。
テニススクールなら、レベルを落としてみる、プライベートレッスン、ショット別レッスンなどの選択肢があります。
壁打ちや一人練習でも基本ストロークの習得に役立ちます。
自分に適した道具とやさしい環境から始めてみる
テニスの道具や環境には慣れるしかないのですが、少しでもテニスをやさしくする方法はあります。
- 自分に合ったラケットを使う
- ジュニア向けのボールを使ってみる
- インドアのテニスコートを使う
自分に合ったラケットを使う
ラケットを購入するとき、何を基準に選びますか?
もし、上記を基準に選んで自分に合ったラケットだったらいいですが、そうでなければテニスを難しくしてしまうかもしれません。
自分に合うラケットを探すのは、本当に難しいです。
上級者でも、どのラケットを使うか悩んています。
自分にもっとも合うラケットを探すのは難しいですが、上達を妨げないラケットの条件なら多少提供できます。
まず、大事なのがラケットの重さです。
一般的な大人が使うラケットの場合、下記を基準にラケットの重さを選んでみてください。
- 男性→300g
- 女性→280g
ラケットが振りにくいなら、より軽いラケットを選びます。
もっとラケットの重みを使って打ちたい場合は、より重いラケットを選びます。
ラケットは軽ければ軽いほど操作性はよくなりますが、手打ちになりやすいです。
逆に、ラケットが重ければ重いほどラケットの重みを使って打てますが、ボールにタイミングを合わせるのが難しくなります。
ちょうどいい重さのラケットを見つけることが大切です。
次に、ボールの飛びと回転量でラケットを選びます。
「ラケット面の大きさ・フレームの厚み・ストリングの本数」の組み合わせで、ボールの飛びと回転量が変わります。
- 【ラケットフェイス】
- →大きいとボールが飛んで回転もかかりやすい
→小さいとボールが飛ばず回転もかかりにくい - 【フレーム厚】
- →厚いとボールが飛ぶ
→薄いとボールが飛びにくい - 【ストリングパターン】
- →目が粗いとボールが飛び回転がかかりやすい
→目が細かいとボールが飛ばず回転もかかりにくい
ここで注意してほしいのは、ボールが飛んで回転がかかるラケットほどいいというわけではないことです。
ボールが飛ばず回転がかかりにくいラケットほど、狙ったところに打ちやすいからです。(パワーが必要だけど、コントロールがいい。)
つまり、「ラケット面の大きさ・フレームの厚み・ストリングの本数」の組み合わせで、自分にとって「ボールの飛び・回転量・コントロール」のバランスがとれたラケットを選びます。
残念ながら、ラケットカタログのスペックを見ても大まかな性能しかわかりません。
自分に合うか合わないかは実際に打ってみるしかありません。
テニススクールやテニスショップには試打ラケットがありますので、実際に打ってみてから購入することをおすすめします。(2本以上試打すると比較できます。)
グリップサイズなど他にも気をつけることはありますが、上記を参考にラケットを選べば上達を大きく妨げることはありません。
ジュニア向けのボールを使ってみる
そんな方は、ジュニア向けのテニスボールで練習をするといいかもしれません。
通常のテニスボールはバウンドした後に向かってきますが、ジュニア向けのテニスボールなら失速し、バウンドした後にボールをとらえやすくなるからです。
ジュニア向けのテニスボールには、下記の種類があります。
- スポンジボール
- レッドボール(ステージ3・飛び75%減)
- オレンジボール(ステージ2・飛び50%減)
- グリーンボール(ステージ1・飛び25%減)
スポンジボールは室内では重宝しますが、外だと風に流されてしまいます。
レッドボールは、手出しとして打つならいいですが、通常のテニスボールを打っている方には弾まなくてラリーがしづらいかもしれません。
(小さなお子さんにはおすすめです。)
オレンジボールは地面にバウンドした後、上に弾みつつもあまり向かってこないので、球出しもラリーも負荷を下げて練習できます。(わたしも小学生2年生の娘とテニスをするときに使っています。)
グリーンボールは、オレンジボールと通常のテニスボールの中間くらいです。
オレンジボール→グリーンボール→通常のテニスボールと段階を踏めば、無理なくボールの弾みに慣れるはずです。
テニススクールのジュニアレッスンだけでなく大人向けのレッスンでも、初心者向けのクラスで上記のボールを活用しています。
テニスが難しいと感じるなら、オレンジボールやグリーンボールで打ってみるのも1つの手です。
インドアのテニスコートを使う
テニスを少しでもやさしくしたいなら、インドアのテニスコートがおすすめです。
インドアのテニススクールなら、日差しや風の影響を受けずにテニスができるからです。
ボールが眩しくて見えなかったり、風でボールの軌道が不規則になるだけでテニスは難しくなります。
おまけに、雨でテニスができなくなることもないですし、冷暖房完備なら暑さや寒さによるストレスはかなり減ります。
インドアのレンタルコートは高くて現実的ではないかもしれませんが、初心者がテニススクールに通うなら最初はインドアを選ぶと継続しやすいです。
ただ、インドアだけでテニスをしていると、外に出たとき環境の変化に対応できないので、徐々にアウトドアでもテニスをするといいでしょう。
ルールを分割してゲームする
テニスの試合を通してやって全体的なゲームの流れを知ることも必要ですが、ルールがよくわからない状態だとハードルが高すぎます。
テニスの複雑なルールは、分割してゲームをすると覚えやすいです。
わたしが、ジュニアやわが子にルールを教えたときのやり方を紹介します。
- 1ゲームマッチ
- タイブレーク
- 1セットマッチ
上記3つのポイントゲームを練習しますが、それぞれを覚えやすくするコツを解説します。
1ゲームマッチ
ますば、4ポイント先取のゲームができるように練習しましょう。
1ゲームマッチではいろいろなことを覚えないといけませんが、下記は後回しでもOKです。
- サーブからスタート
- サイドチェンジ
最初は、サーブからスタートしなくてもいいですし、斜めのサービスボックスに入れなくてもいいです。(サーブの技術が必要です。ここではルールの習得を優先します。)
球出しスタートでかまいません。(サーバーが下から打ってもいいし、コートの横から球出ししてもらうなどでもいいです。)
ポイントが終わるたびに、サーバーとレシーバーはサイドを変えますが、これも後回しで大丈夫です。
テニスの特殊なカウント方法を覚えることに力を注ぎましょう。
- 0ポイント→ラブ(0)
- 1ポイント→フィフティーン(15)
- 2ポイント→サーティー(30)
- 3ポイント→フォーティー(40)
- 4ポイント→ゲーム
いきなり、「0、1、2、3」ポイントの代わりに「ラブ、フィフティーン、サーティー、フォーティー」を使うのが難しければ、2ポイント先取のゲームからスタートしましょう。
ゲームで使うのは「ラブ、フィフティーン、サーティー」だけになり、覚えるのが楽になります。
「0-0」と「15-15」は、それぞれ「ラブ・オール」「フィフティーン・オール」とコールしますが、最初は「ラブ・ラブ」「フィフティーン・フィフティーン」で慣れてからでもいいでしょう。
慣れてきたら、3ポイント先取のゲームをして「フォーティー」も使うようにします。
最終的に4ポイント先取のゲームにもチャレンジしますが、「40-40」のデュースになった後のコールが厄介です。
デュースからのゲームをすると、「アドバンテージ・サーバー」と「アドバンテージ・レシーバー」のコールをたくさん練習できます。
タイブレーク
7ポイント先取のタイブレークは、1ゲームマッチと違ってポイントのコールが簡単です。
- サイドチェンジ
- コートチェンジ
上記は後回しにしてもOKで、まずは下記に注意してタイブレークをやってみます。
- サーブ権
- 「6-6」になったら2ポイント差をつけるまで終わらない
タイブレークで、最初に覚えたいのはサーブ権の移動です。
最初の1ポイントが終わったらサーブ権を交代し、後は2ポイントずつで交代と覚えておきましょう。
「6-6」になったら2ポイント差をつけるまで終わらないルールは、「6-6」にならないと経験できません。
3ポイント先取のタイブレークで練習すると、2ポイント連取するまで終わらないルールを経験しやすいです。
1セットマッチ
1ゲームマッチとタイブレークを覚えたら、1セットマッチにチャレンジしたいところですが、とにかく時間がかかります。
- ゲームのカウント
- サーブ権
- コートチェンジと休憩のタイミング
1セットマッチでは、新たに上記3つを練習できればルールを覚えられます。
そこで、各ゲームを下記のどちらかにして時間短縮します。
- 各ゲームをデュースからスタート
- 各ゲームを「30-30」からスタートでノーアドバンテージ
各ゲームが2ポイント先取で終わることになり、1セットマッチのルールを経験しやすくなります。
わたしはデュースからスタートして練習させることが多かったのですが、2ポイント差がつくまでゲームが終わりません。
各ゲーム「30-30」スタートにして、「40-40」は1本勝負にするとさらに時間短縮できます。
3種類のポイントゲームでルールを使いこなせるようになったら、1セットマッチを通してやってみてください。
草トーナメントでも6ゲーム先取のノーアドバンテージ(デュースなし)が多いので、1セットマッチのルールでゲームができれば十分です。
ほとんどの方は、セット数もカウントする3セットマッチや5セットマッチと縁がないと思いますので…
相手からポイントを奪うのが難しい、ペアと力を合わせて戦うのが難しい、そんな悩みに直面するからです。
そして、相手が強ければ強いほどテニスは難しく感じます。
でも、自分(たち)にできることと相手のプレーを分析しつつ戦略を考え試してみるのも、テニスの楽しいところです。