- テニスのオープンスタンスの打ち方【グランドストロークでは必須のスタンス】
- グランドストロークでのオープンスタンスとスクエアスタンスの使い分け
しかし、それが結果としてスイングの定着を遅らせていました。
私のように遠回りしないで済む、オープンスタンスの打ち方を解説します。
テニスのオープンスタンスの打ち方【グランドストロークでは必須のスタンス】
テニスのグランドストロークでは、主に3つのスタンスを使います。
- スクエアスタンス
- クローズドスタンス
- オープンスタンス
スクエアスタンスは、両足を前後に並べるスタンスです。
両足を並ぶラインと打ちたい方向が一致します。
テニスを始めると、最初に教わるスタンスですね。
クローズドスタンスは、スクエアスタンスから後ろ足を1歩背中側に引いたスタンスです。
正面から見ると、背中を相手に見せるような感じになります。
身体を開きたくないショットで使います。
片手バックやスライスがそうですね。
オープンスタンスとは
そして、本記事で解説するオープンスタンスは、簡単に説明するとスクエアスタンスから前足を1歩背中側に引いたスタンスになります。
しかし実際ゲームで使うオープンスタンスは幅広く、スクエアスタンスから前足を1歩背中側に引いたスタンス(セミオープンスタンスともいいます)で打つこともあれば、両足を左右に並べて(フルオープンスタンスともいいます)打つこともあります。
下半身が正面近く(セミオープンの場合)もしくは完全に正面(フルオープンの場合)を向いているため、ラケットをテイクバックするときにオープンスタンス特有の身体操作が必要になります。
ここがスクエアスタンスやクローズドスタンスでテイクバックするときと大きな違いになります。
オープンスタンスの習得は難しいですが、他のスタンスに比べて応用範囲が広く、使い勝手が非常にいいです。
スクエアスタンスやクローズドスタンスで打ちにくかったボールも返せるようになり、ラリーやゲームもしやすくなるはずです。
オープンスタンスの打ち方
前置きが長くなりましたが、オープンスタンスの打ち方を下記3つのパートに分けて解説します。
- オープンスタンスの前提条件
- オープンスタンスの打ち方
- オープンスタンスの導入方法
オープンスタンスの前提条件
オープンスタンスを習得するにあたって、前提条件があります。
それは、スクエアスタンス(片手バックならクローズドスタンス)でボールとの距離を合わせて打てるようになっていることです。
もし、ボールに近くなったり遠くなってしまい、ラケットのスイートスポットで打てないのであれば、再現性のある正しいスイングが出来上がっていません。(打感が気持ち悪い方は要注意。)
この状態でオープンスタンスにとりかかると、グランドストロークが泥沼化する可能性大です。
オープンスタンスをとるにしろ、他のスタンスと同じテイクバックをとりますので…
わたしのように長い期間停滞したくなければ、まずはスイングを固めるほうが無難です。
オープンスタンスの打ち方
オープンスタンスの打ち方は、下記のようになります。
軸足でボールとの距離をとりつつ、両腕を使って両肩をターンします。
右利きから、フォアの軸足は右足、バックの軸足は左足になります。(左利きなら左右逆になります。)
軸足のつま先の向きは、状況によります。
とったスタンスがセミオープンなら、つま先はスクエアスタンスと同様に横向きです。
フルオープンスタンスなら、つま先は斜め横向きくらいになります。
両腕を使って両肩をターンしていき、テイクバックをとります。
バックハンドストロークは両手でラケットを支えているので、ラケットを後方に持っていけば両肩がターンできます。
フォアハンドストロークは最初両手でラケットを支えていますが、テイクバックの途中から離れていきます。
フリーハンドは、ラケットから離れたら横方向に伸ばして肩を入れるようにします。
右利きなら、左手を右方向に伸ばして左肩を入れるようにします。
両肩をターンして他のスタンスと同じテイクバックをとるためには、オープンスタンス特有の身体操作が必要になります。
軸足の股関節と膝を曲げて、身体を沈めます。
正確には、身体を沈めた結果、軸足の股関節と膝が曲がる感じです。
体重が軸足側に乗るので、もう片方の足のかかとは地面から離れます。
この動きで、上体の軸がまっすぐのまま骨盤が回ります。
もし、軸足の股関節と膝を曲げて身体を沈める動作ができないとどうなるでしょう?
骨盤が回らない状態で両肩をターンするので、可動域の狭い腰を必要以上に捻ったり、上体の軸を傾けてテイクバックすることになります。
フォワードスイングは、軸足で地面を踏み身体を押し上げてスタートさせます。
軸足の膝が伸び上がり、骨盤から上が回ります。
↓
オープンスタンスの導入方法
オープンスタンスの打ち方を理解しても、実際にやるには練習が必要です。
ここでは、オープンスタンスに初めてチャレンジする人向けに導入方法を紹介します。
- 軽いボールを投げ合う
- 手出しのボールをノーバウンドで打つ
- ラリーでオープンスタンスを取り入れる
軽いボールを投げ合う
いきなりラケットワークと身体の使い方を同時に行うのは難しいです。
そこで、身体の使い方に絞ってオープンスタンスを練習してみます。
2人で行いますが、壁を使えば1人でも可能です。
音が大丈夫であれば、自宅の壁でもできます。
軽くて大きめなカラーボールを使います。
100円ショップでも、同じようなボールが売っています。
重みがあるメディシンボールは、運動連鎖を強化するのにはいいですが、オープンスタンスの習得に使うと下記のようなリスクがともないます。
- 上体の軸が傾く
- 腕の力を使う
- 腰を必要以上にひねる
軽いボールなら、悪いクセをつけずに身体の動きを練習できます。
練習のやり方は、下記のようになります。
両足を肩幅より広くとり、両足のつま先は若干外に向け、お互いに向き合います。
⬆︎相手もしくは壁の視点
両手でボールを持ち、身体の前方にセットします。
そこからボールを右後ろに引いて、両肩をターンします。
両肩をターンすると同時に、軸となる右足の股関節と膝を曲げて、骨盤を回しながら身体を沈めます。
上体の軸はまっすぐに保ったまま、ボールを下ろします。
⬆︎横から見たところ
右足を伸び上げる勢いを使って骨盤を回し、ボールを相手に斜め下から投げ上げます。
↓
手で投げないように、両腕と上体を一体にします。(固める感じです。)
あくまでも、骨盤の回転でボールを投げるようにしましょう。
10往復は投げ合ってみてください。
慣れてきたら、逆側もやってみます。
右利きの方なら、左側のほうがまっすぐ投げるのは難しく感じるでしょう。
場合によっては、左側のほうを多く練習したほうがいいかもしれません。
手出しのボールをノーバウンドで打つ
オープンスタンスの身体の使い方を覚えたら、ラケットワークを加えます。
実際に、簡単なボールを打ってみます。
最初、球出しのような死んだボールではオープンスタンスを使ってボールを飛ばすのが難しいです。
また、ボールのバウンドに合わせてテイクバックするのもおすすめできません。
ワンバウンドしたボールは打つタイミングを選べてしまうため、打点が低くなりがちです。
おすすめなのは、下からの手出しでノーバウンドのボールを打たす練習です。
フルオープンスタンスで正面を向きます。
最初は、テイクバックも済ませておきましょう。
この時点で、下記をチェックします。
- 上体の軸はまっすぐか
- 肩が入りスクエアスタンスと同じテイクバックをとれているか
- 軸足の股関節と膝が曲がり骨盤がターンできているか
ノーバウンドなら、直接打ってほしい打点にボールを送れます。
この練習で、軸足と打点との距離も覚えられます。
腕への衝撃が気になる場合は、ジュニア用のやわらかいボールやスポンジボールでもかまいません。
⬆︎打感が気持ちいいレッドボール
⬆︎自宅でもできるスポンジボール
ラリーでオープンスタンスを取り入れる
後は、ラリーでオープンスタンスを取り入れてみましょう。
浅いボールは、今までどおりスクエアスタンス(片手バックならクローズドスタンス)でOKです。
深いボールや高いボールが来て足を踏み込めないとき、軸足でボールとの距離がとりやすいはずです。
また、横に走らされたときや回り込んで打つときにもオープンスタンスは使えます。
ラリーでは相手の球威を利用できるので、身体の捻り戻しをうまく使えばオープンスタンスでボールが飛ばせます。
オープンスタンスは体重移動するのか?しないのか?
結論から言うと、オープンスタンスはスクエアスタンスやクローズドスタンスのように体重移動を意識して打つ必要はありません。
ただ、オープンスタンスで打った後の着地はいろいろです。
例えば、右利きのプレーヤーがフォアハンドストロークをオープンスタンスで打った場合の着地は下記の3種類です。
- 左足
- 右足
- 両足
1番多いのは左足で、この場合右足から左足に体重を移しているので、体重移動しているようにも見えるかと思います。(実際には、右足→ジャンプで上→左足の順です。)
特に、浅く弾むボールをオープンスタンスで叩き込むとき、前に行きながら左足着地するため、打っている本人も体重移動しているような感じにはなります。
後ろに下がりながらオープンスタンスで打つときは、右足で着地するときもあります。
横に動いてオープンスタンスで打つときは、両足で着地してバランスを保ちつつ素早くリカバーします。
スクエアスタンスやクローズドスタンスでも、深いボールが来たときは体重移動しないで打つことはあります。
必ず体重移動して打つという考えは捨てたほうがいいでしょう。
グランドストロークでのオープンスタンスとスクエアスタンスの使い分け
グランドストロークで、オープンスタンスとスクエアスタンス(またはクローズドスタンス)をどう使い分けたらいいかは、オープンスタンスのメリットとデメリットを把握すればわかります。
オープンスタンスのメリットとデメリット
オープンスタンスは圧倒的にメリットが多く、デメリットは少ないです。
プロテニス選手がオープンスタンスを多用するのもうなずけます。
オープンスタンスのメリット
オープンスタンスのメリットは、下記のとおりです。
- 【足を踏み込まなくてもいい】
- →準備に時間がかからない
- 【コースの打ち分けがしやすい】
- →同じスタンスからクロスにもストロークにも打てる
- 【懐が深い】
- →ボールとの距離がズレても動きながら打てる
- 【リカバリーが早い】
- →打ったと同時に戻れる
その他、
というメリットもありますが、バックハンドストロークに関しては必ずしもベストな選択とはかぎりません。
フォアハンドストロークでは、最大限の恩恵を受けられますが…
オープンスタンスのデメリット
逆に、オープンスタンスのデメリットは、下記のとおりです。
- 身体が開きやすい
- 浅くて低いボールが打ちにくい
オープンスタンスは積極的に身体を回すので、身体は開きやすくなります。
身体を開きたくないショットに関しては、テクニックはあるものの使いづらいスタンスです。
浅くて低いボールをオープンスタンスで打とうとすると、足の入りが足らずボールをひっかけてしまうことが多いです。
前足への体重移動ができるスクエアスタンスやクローズドスタンスのほうが、浅くて低いボールに対応しやすく、前への移動もスムーズです。
実戦でのオープンスタンスとスクエアスタンスの使い分け
基本的な使い分けは、踏み込んで打てるボールはスクエアスタンス(片手バックはクローズドスタンス)で、踏み込んで打ちづらいときはオープンスタンスという方向で選択すればいいでしょう。
ただ、積極的に前足を踏み込む順番は下記のようになります。
片手バックはなるべく踏み込みたい、両手バックは臨機応変に、フォアは踏み込まなくてもいいといった感じでしょうか。
オープンスタンスのメリットとデメリットを考えると、浅くて低いボールは
がいいでしょう。
また、高く弾むボールに関しては、身体を回したいフォアハンドと身体を開きたくないバックハンドで選択が変わってきます。
- 【フォアハンドストローク】
- →積極的に身体を回せるオープンスタンスで問題なし
- 【バックハンドストローク】
- →状況による
フォアハンドストロークの横振りとオープンスタンスは、ラケットと身体の回る方向が同じなのでかなり相性がいいです。
横に走らされたボールも、フォアハンドとバックハンドで適したスタンスは変わってきます。
- 【フォアハンドストローク】
- →ほぼオープンスタンス
- 【両手バックハンドストローク】
- →状況による
- 【片手バックハンドストローク】
- →ほぼクローズドスタンス
両手バックは下記のとおり状況によります。
- 【両足を決めて打てる】
- →スクエアスタンス
- 【走りながら打てる】
- →クローズドスタンス
- 【ギリギリ両手で打てる】
- →オープンスタンス
- 【両手ではムリ】
- →片手スライスでクローズドスタンス
片手バックならほぼクローズドスタンスです。
- 【両足を決めて打てる】
- →クローズドスタンス
- 【走りながら打てる】
- →クローズドスタンス
- 【スピンではムリ】
- →片手スライスでクローズドスタンス
球出し練習でのオープンスタンスとスクエアスタンスの使い分け
球出し練習でも、実戦と同じスタンスを使って打つほうが効率的です。
ただ、ボールの質を上げることを考えると、トップスピンをかける縦振りで打つときは、できるだけスクエアスタンス(片手バックならクローズドスタンス)をとったほうがいいとわたしは思います。
しっかり体重を乗せたほうが、重いボールを打つ練習になります。
また、フォアハンドストロークを高い打点で打つ練習をするときは、横振りとオープンスタンスを組み合わせてボールをたたきつぶすのがおすすめです。
しっかり身体を沈めて、地面を踏んで打つ。
オープンスタンスの身体の動きを強調して打つ練習ができます。
高い打点でボールをとらえる「横振り + オープンスタンス」の打法こそ、オープンスタンスの真骨頂ともいえます。