- テニスの両手打ちフォアハンド|メリット・デメリットと持ち方を解説
- フォアハンドは両手と片手どちらから始める?片手への移行はどうする?
テニスの両手打ちフォアハンド|メリット・デメリットと持ち方を解説
ジュニアのテニスに「PLAY & STAYが導入されて、ジュニア用のラケット・ボール・コートサイズが使われるようになりました。
その結果、フォアハンドを両手打ちで打つジュニアは減っています。
それでも一定数、フォアハンドを両手で打つプレーヤーはいます。
本記事前半では、以下の3つを解説します。
- 片手打ちフォアハンドから両手打ちに移行する理由
- 両手打ちフォアハンドのメリット・デメリット
- 両手打ちフォアハンドの持ち方
片手打ちフォアハンドから両手打ちに移行する理由
片手打ちフォアハンドから両手打ちに移行する理由は、だいたい以下のどれかに該当します。
- 怪我をして片手で打てなくなった
- 片手だとイップスが起きてしまう
- 両手で打つほうが打ちやすかった
特に、非力なジュニアや女性でうまくフォアハンドストロークが打てない方は、両手打ちを試すとうまく打てるケースがあります。
両手打ちフォアハンドのメリット・デメリット
両手打ちフォアハンドのメリットは以下のとおり。
- 【ラケットを振り抜きやすい】
- 非力でも両手ならラケットを鋭く振り抜ける。
- 【フォームを固めやすい】
- 片手打ちフォアハンドと比べて自由度が低くコンパクトになるため、フォームを固めやすい。
- 【運動連鎖がしやすい】
- 両手でラケットを振るため、片手打ちフォアハンドより身体全体を使ったスイングを覚えやすい。
- 【ラケット操作がしやすい】
- 両手でラケットを扱えるため、打点を前後にずれても打てる。また、アングルショット・ドロップショット・スライスショット・ロブへの切り替えがしやすく、ボールをコントロールしやすい。
両手打ちにすると、メディシンボールを投げるときと同じフォームになるので、運動連鎖がしやすいのはイメージできるかと思います。
反対に、両手打ちフォアハンドのデメリットは以下のようになります。
- 【リーチが短い】
- 打点が身体に近いため、走る距離が長くなる。
- 【高い打点で叩きづらい】
- 片手フォアハンドほど高い打点では打てない。高い打点で打つには、ジャックナイフといった特殊な打ち方も必要になる。
- 【体力を奪われる】
- ボールを追いかけるときも打つときも、片手打ちフォアハンドより体力を使う。ジャンプするジャックナイフを多用すれば、体力をさらに消耗する。
- 【ケガをしやすい】
- 身体を回して打ち続けるので、腰を痛めやすい。
両手で打つ安心感がある一方、制限が多いため片手打ちより身体を酷使してしまいます。
両手打ちフォアハンドの持ち方
両手打ちフォアハンドの持ち方には、
があります。
右利きの場合で解説します。
順手の握り方
順手は、右手が上で左手が下になります。
つまり、右手がスロート側、左手がグリップエンド側でグリップを握ります。
右手はコンチネンタルグリップ〜イースタングリップの間、左手はコンチネンタルグリップで握る場合が多いです。
順手で握ると、両手打ちバックハンドと同じように打つことができます。
ただ、両手打ちバックハンドを打つとき、両手を入れ替える必要があります。
ラケットを宙に浮かせて、両手を入れ替えます。
準備に時間がかかりそうですが、慣れればグリップチェンジはそこまで大変ではありません。
逆手の握り方
逆手は、右手が下で左手が上になります。
つまり、右手がグリップエンド側、左手がスロート側でグリップを握ります。
右手はイースタングリップ、左手もイースタングリップで握る場合が多いです。
逆手で握ると、両手打ちバックハンドとは手が反対になり、打ち方が違います。
逆手だと、両手打ちバックハンドを打つときにグリップチェンジが必要ないので、準備はスムーズです。
ボールが遠ければ、左手を離して通常の片手フォアハンドで打つこともできます。
順手と逆手、どちらにもメリット・デメリットがあり、持ち方はどちらでも構いません。
ただ、両手打ちフォアハンドのプレーヤーを見ると、プロ・アマチュアどちらも逆手で打っているケースが多いです。
フォアハンドは両手と片手どちらから始める?片手への移行はどうする?
本記事の後半では、ジュニアのフォアハンドは両手打ちから始めるべきか、片手打ちから始めるべきか、元コーチだったわたしの意見を書いておきます。
お子さんがテニスをする場合、参考にしてみてください。
ジュニアは両手打ちから始めるべき?片手打ちから始めるべき?
結論としては、片手で打てそうなら片手から始めたほうがいいです。
ほとんどのジュニアが最終的に片手打ちフォアハンドになるからです。
両手打ちから始めた場合、片手打ちに移行する練習が必要です。
球出し練習はまだいいですが、ラリー練習のときは今まで両手打ちで返していたボールを片手で返すことになります。
周りの生徒さんのレベルが高ければ高いほど返球は難しくなり、片手打ちの移行がスムーズにいかないこともあります。
小学校の高学年なら片手打ち
小学校の高学年以上であれば、だいぶ力がついています。
フォアハンドなら、片手でラケットを振り抜けるお子さんが多いです。
ただ、下記の場合は両手打ちから始めたほうがいいでしょう。
- 未就学児からテニスを始めて十分に時間がある
- 片手だと手打ちになってボールが飛ばない
- 片手だと打ち方が安定しない
軽いジュニア用ラケットと弾みが小さいジュニア用ボールでレッスンを行うスクールが多いので、片手のハードルはだいぶ落ちました。
それでも、片手でフォアハンドを打つのが難しいお子さんはいます。
両手打ちは、スイングが小さくなる分、フォームを固めやすく、ボールもコンタクトしやすいです。
また、非力なジュニアでも身体を使って打てるようになるので、ボールを飛ばせるようになります。
両手打ちが遠回りとはかぎらない
両手打ちから始めると、片手打ちの移行がスムーズにいかず、遠回りする可能性はあります。
ですが、両手打ちから始めることで、運動連鎖を覚えたり、片手より狭い打点エリアで打てるようフットワークを使うようになります。
両手打ちはメディシンボールでトレーニングしているようなものなので、片手打ちの準備期間として経験させるのもいいでしょう。
両手打ちから片手打ちの移行はどうすればいい?
片手打ちへ移行するタイミングは、周りの生徒さんのレベルが上がれば上がるほど難しくなります。
練習内容やラリーが難しくなるためです。
早ければ早いほどいいのですが、お子さんの意志もあるでしょう。
両手なら気持ちよく打てるのに、片手打ちにしてうまく打てないと、テニスが嫌になってしまうお子さんもいます。
本人が片手打ちのフォアハンドに興味がある、もしくは片手打ちにする必要性を感じていれば、移行しやすいと思います。
始めは、両手打ちをやめて片手打ちにするのではなく、
といいでしょう。
片手打ちだと厳しい場面では、両手打ちを使ったほうが気持ちも楽ですし、ストレスも減ります。
少しずつ、片手打ちと両手打ちの比率を変えていけばOKです。
とはいえ、片手打ちは両手打ちより打点が遠いので、その違いは意識させたほうがいいでしょう。
どうして両手打ちフォアハンドを選んだの?
片手打ちフォアハンドでも打てるのに、あえて両手打ちフォアハンドを選ぶプレーヤーもいます。
両手のほうが、打ったときの感触がしっくりくるそうです。
小さな頃から長年、両手打ちでテニスをしてきたというのもあると思いますが…
少数ですが、プロでも両手打ちフォアハンドで活躍していたプレーヤーがいました。
男子だと、ジミー・コナーズさん、ファブリス・サントロさん、ジャン・マイケル・ギャンビルさん、youtubeテニス倶楽部の金子英樹さん、田口亮太さん。
女子だと、モニカ・セレスさん、マリオン・バルトリさん、平木理化さん、森上亜希子さん、森田あゆみさん、青山修子選手。
ハードヒッターやテクニシャンが多く、試合はとても見応えがありますね。
片手打ちフォアハンドがうまくいかない場合、両手打ちフォアハンドに挑戦するのも1つの選択肢です。
本記事が、両手打ちフォアハンドの参考になれば幸いです。